この日もたまたま実家の近くを通りかかった。
先週、寿司屋が定休日で空振りだったので、再度母を昼に誘った。
今回は無事寿司にありつくことができた。
馴染みの寿司屋なのでいつ食べても懐かしくて美味しい。
母が言うには先日、弟に誘われ二人で焼肉を食べたという。
そんな話を聞くととても嬉しい。
上の息子に誘われ寿司を食べ、下の息子に誘われ焼肉を食べる。
少しばかりは母の労苦も報われるというものだろう。
業務を終えて夕刻。
家内から連絡が入った。
二男が今朝ふぐを食べたいと言ったという。
それで商店街の魚屋に注文してあるから取りに寄ってとのことだった。
まずは名店たこやで大ぶりの赤貝を引き取り、続いて満海で取り置きのマグロとてっさととらふぐを引き受けた。
以前は5,000円ほどだったふぐの切り身が6,500円と高騰していたので驚いた。
美味しいものがどんどん高くなっていく。
まだ手が届くうち、子らにたっぷり食べさせておかねばならない。
帰宅すると家内がティーチャーズのハイボールを作ってくれた。
前菜として刺身を分ける。
鍋は二男が帰ってきてからの話。
夜10時を回るから、わたしは鍋をあきらめた。
息子が全部食べれば本望だ。
刺身をつつきつつ、急に思い立ったみたいに家内がいくつかの店に電話を入れ始めた。
わたしが留守の夜、帰省した長男を連れ二人で食事に出かけるのだという。
二男は当分のあいだ連れ出せないが、長男は暇を持て余していて連れ歩くのにちょうどいい。
あちこち電話し地元の寿司屋で席を2つ予約し、松山最強、寿司弘の席も2つ確保できたようだった。
一年でもっとも心落ち着く年末年始の頃。
大学生となった息子と二人、カウンターで寿司をつまむ。
まさに労苦が報われる時の時。
母冥利に尽きるというものだろう。
やがては二男も自由の身。
そのとき家内は両手に花となる。
たまにわたしにも声がかかるかもしれないが、長男と二男を取っ替え引っ替え連れ回すことがもっぱらとなるのは間違いない。
そしていつしか役割変わり、子らに手を引かれという側になる。
息子が二人いる心丈夫を思う存分満喫する後半生になることだろう。