思い立って受験し、筆記は一発で通ったが面接は2回続けて空振りの憂き目を見ていた。
3回目の正直。
この日、結果が発表になって無事合格となった。
英検一級と言えば、33期だと島田くんの顔が浮かぶ。
息子がその英語の域に一歩でも近づいたのだと思うと誇らしい。
昨夏、面接で空振りした際には落ちた理由が分からなかった。
とにかく鍛えよう、そう決意して猛特訓が始まった。
アメリカからの留学生とつるんで過ごし稽古の相手をしてもらい、夜はオンライン英会話に取り組んだ。
練習を一日も欠かさなかったところは母譲りの根性と言うべきだろう。
面接当日は早朝にレッスンを受け感覚を慣らしてから、本番に臨んだ。
徹底的に努力したからこそだろう。
万一を思って結果発表を前に不安が募った。
これで落ちたら、あと何をすればいいのだ。
そうなった場合、途方に暮れるしかなかった。
そしていよいよ合格発表。
デスクワークにかけては一日の長。
結果を見たのはわたしが先であった。
無事に合格。
長男に知らせると受話器の向こう歓喜の叫びに涙声が混ざった。
うちの先頭打者が3球目を見事に打ち返して塁に出た。
その様子を黙って見つめ、次の打者が静かに腰をあげバッターボックスに向かう。
二男も英検一級を目指すことになるのは間違いない。
続いてもおそらく好打。
生還した長男が再びバッターボックスに立つ。
そして、また二男。
そのように順繰り。
打線に切れ目なく二人の打者が連打する。
そこらの野球を見るよりはるかに苦しくかつ楽しい。