ミストサウナで汗を流し温泉にたっぷりつかった。
出し惜しみなくシャワーからもあたたかな雨のごとく温泉が降り注いだ。
おかげで全身隅々まで生気に満ちた。
同じく朝風呂を終えた家内と朝食の会場に赴いた。
ビュッフェであればまるで人生を賭けるみたいにあれもこれもと器に盛ったのは昔の話。
これはと思う品だけとって手短に済ませた。
ホテルを後にして、ペリーが歩いたという道を夫婦で辿って、新緑が目に鮮やかな下田公園を散策した。
空気がほどよく冷えて清涼でそこに身を置くだけでほんとうに気持ちよく、その外気に呼応するかのごとく幸福感が溢れ出た。
午後を過ぎ、踊り子にて深みある青を湛えた海を眺めて熱海に戻り在来線で沼津まで出た。
寿司を食べようと狩野川に沿って南へと向いて歩いて港まで進んだ。
川べりではいたるところでBBQが催され、休日を楽しむ地元の方々のくつろいだ笑顔を覗き見て、ここがとても住み良い地域だということが分かった。
ネットで調べその評判にて店を選んだ。
選択は正解。
頬張ってしみじみとくる美味しさがあって、わたしはカウンター席にて寡黙に感動し、家内はキャッキャと喜んで大将に今回の旅路についてはしゃいで語った。
そして岩牡蠣が見たこともないくらいの大きさであったからそこで家内のボルテージは最高潮に達した。
寿司を食べ終え駅へと向かった。
富士山が風格を漂わせやたらと大きく見えた。
良き旅は良き思い出とともに長く刻印される。
今回その最初の一ページ目に来るのは帰途に目にしたこの富士山の姿だろう。