神戸でエステを受け家内は安らぎの中にあった。
だから家内を家に残しわたしはひとりでジムへと向かった。
金曜だからわたしも仕事帰りにどこかで一杯やって安らいでもよかったが、何も慌てることはない。
しっかり運動してからの方がビールの美味が増す。
ジムでの時間は四つの部から構成される。
泳いで筋トレしサウナに入ってマッサージチェアに身を横たえる。
いずれも三十分ほど。
どの部においても心身が芯から歓喜する。
この日も四種の幸福をたっぷり味わった。
帰途、ガーデンズに寄って食べ物と飲み物を買い、黄金の週末へと一路、自転車を駆った。
平日をノンアルで過ごすと、その「間」がスパイスとなって禁が解かれる週末の輝きがいや増しとなる。
家内と乾杯。
楽しく飲んで秋の夜長、この日は十月以降の遊びの予定を話し合い、飯屋やホテルに予約を入れた。
京都など今のうちだろう。
そのうち外国人観光客が押し寄せてホテルの値段はびっくりするくらいに跳ね上がり予約も難しくなる。
意中の店や宿の予約が無事に取れて、あとはその日を待つばかり。
各所に楽しみが散りばめられて、それによって日常という「間」も特別感をもって輝きを増していく。
秋の夜長、二人に訪れるこの先の三ヶ月が黄金色に置き換わった。
だからだろう。
締めに家内が作って二人で分けたパスタは忘れ難いほど美味なものとなった。