雨の降る道頓堀を歩き、宗右衛門町で家内と合流した。
美容院帰りで家内はばっちり決まっていた。
先日訪れた博多同様、なんばにも韓国人観光客が大勢詰めかけ、かつての活気が徐々に戻っていると思えた。
座敷に座ってまずはビールで乾杯した。
凝った料理が出てくるたび感嘆し、一品一品、ゆっくり味わっていった。
イカの甘みは包丁の入れ方によって引き出される。
博多でわたしたちはそう知った。
だからここでもイカの甘みから職人さんのハイレベルな技術を推し量ることができた。
カニが素晴らしく、キンキの焼きがふんわりやわらかで、続いて現れたアワビにも唸った。
がつがつと分量を食べるのではなく、おいしいものをちょこっといただく。
そんな食べ方もたまにはいい。
店を出ると雨がまだ降り続き、暖気が流れ込んできたのだろう、雨滴に春の香りがふんだんに含まれていると感じられた。
次の日は朝が早いので、これにて夫婦の新年会はお開き。
さっさとタクシーで帰ることにした。
年が明け、ようやくここにきて落ち着いた。
今年もよい一年になる。
そんな確信を運んでタクシーは一路西宮へと向かった。