KORANIKATARU

子らに語る時々日記

楽しいけれど悲しい

そろそろ夏休みの計画を立てよう。

家内に背を押され夕飯を食べつつ旅程について考えた。

 

このほど50歳になったキムタクが言ったそうである。

海を楽しむ夏休みはあとたったの20回しかない。

 

家内からそんな話を聞いて、わたしは韓流ドラマを思い浮かべた。

ひとつのドラマがだいたい20話完結で、見始めるとあっという間。

わたしたちについても残り時間はそれほど多くないのだった。

 

だから夏休みに限らず時間があればあちこち行こうと話の焦点が拡散し、行き先の候補ばかりが数多く挙がって結局具体的には何も決まらぬまま話題はそれて、話は息子たちのことへと移っていった。

 

長男によれば先輩たちは入社5年内の海外駐在時期を目処に結婚し、彼自身も誰かしら見つけてさっさと結婚するという。

ということは、そろそろである。

 

二男についても早いだろう。

先輩がどうとか言う以前に、二人は良き家庭にて愛情をたっぷり受けて育った。

家庭が有する良さを肌身で感じているだろうから、自然、彼らは結婚について前向きで、結構な男っぷりが結婚に前向きならば、話は早いとみて間違いない。

 

それで夫婦の会話は未来に向いた。

 

結婚式は盛大なものになるだろう。

中高大の友人や職場の同僚など彼らの歴史を物語るようなメンバーが集結し、わたしの友人ももしかしたら顔を出してくれるかもしれず、家内の友人も駆けつけてくれるはずである。

 

そんな場に身を置いてわたしの父はたいそう喜ぶに違いなく、遠くから見守ってくれる母も同様、心から喜んでくれることだろう。

 

そして話は更に先へ進んでいった。

 

まだ見ぬ孫らと遊ぶ時間について思い巡らせ、わたしは成人した孫らと一緒に酒など酌み交わすシーンに思いを馳せた。

ああ、楽しい。

 

先へ先へと話が進んで、しかし、孫の結婚といったところに至って話は減速し始めた。

 

そんな楽しい全20話の一体どこまで、わたしたちは登場することができるだろう。

どこかに行き止まりがあるとわたしたちは体感する年齢に至ったのだった。

 

楽しいけれど悲しい。

いつしかわたしたちは現在地点に立ち返り、しんみりとした夜の時間に同化していった。

2023年2月3日昼 谷六 台風飯店

2023年2月3日夜 家内特製テールスープと家内作の丹波焼に盛ったキムチ