GWといった長い休みに入ると彼らはよく祖父母の元へと通った。
ラグビーをし塾へと通うようになるまではそれが定番の過ごし方だった。
そんな彼らをじいちゃんは交通科学博物館へ、一方、ちゃーちゃんは近所のツタヤへと連れて行ってくれた。
乗り物好きの彼らは交通科学博物館の中をはしゃいで走り回り、夜はツタヤで借りたアニメに見入った。
青年へと育ったいま乗り物に興奮することはないが、当時お気に入りだったシュレックなどは懐かしいからいまもたまに見るようだ。
そのように幸いなこと、彼らのちびっ子時代は良きものによって埋め尽くされている。
じいちゃんの部屋にもちゃーちゃんの部屋にも小さかった頃の彼らの写真がたくさん飾られている。
ただただ孫を可愛がり、なにも高望みすることなくその成長を喜んでくれたのがその二人だった。
だから彼らが無事に大学に合格したときは、心配だったからだろう、ほんとうに泣いて喜んでくれた。
陽の光が注がれて樹々が太く大きく育つように、彼らの成長にその愛情は強く作用した。
そしてまた、じいちゃんとちゃーちゃんがたっぷりと愛情を注いでくれたから彼らのうちに幸せの素がしっかりと形作られた。
だからこの先も彼らの幸せは揺らぐことなく、そこにはずっとじいちゃんとちゃーちゃんの愛情が息づいている。