つい先日まで受験生の親という立場だったから関心がない訳ではなく、子らが早慶に進んだから、ついつい夫婦揃ってYouTubeで早慶受験といった学歴動画をみてしまう。
この日も家内と夕飯をともにしながらひとつ見て、子ども相手の与太話であるにせよ、なんとも軽い感じで早慶最上位学部に受かったとの予備校講師の眉唾な話を聞いて、わたしたちはかなりハードだった日々を振り返った。
蝶のように舞い蜂のように刺す。
当初、そんな快勝イメージで臨んだ早慶受験であったが、今思えば、ノーガードで打ち合ってやっとのこと勝ち抜けたといった感が否めない。
当然、無傷では済まされず、首都圏受験の激烈にわたしたちは悄然とひれ伏す他なかった。
そんな流れで自然と33期の話になった。
何人もの33期と会って話をしているから家内もその一員といっておかしくない。
普段顔を合わせるなか、阪医のハザマ君が最優秀と言えるだろう。
タコちゃんは市大医学部だが阪医であっても全然おかしくなかったので同様に最優秀。
そのように挙げていくと結局、次から次へと皆が皆、最優秀という話になってキリがない。
そこで家内が視点を変えた。
大阪星光33期は最優秀者ばかりだが、人が良すぎて優しすぎる。
その点、枚方パークのチケットをくれたオーアサ君、彼には人を見る厳しい目がある。
だから、出世するのも当たり前。
なるほど、家内の言うとおり。
京大出身のこの男も優しいのは優しいが、巨大組織のなかで揉まれ叩かれ、相応の眼力を備えるに至った。
だから、人物のほどを見抜くことができ、海千山千のしたたか者らを軽く従え、この先もぐんぐんてっぺんに向け駆け上がっていくことだろう。
何年も前のこと。
無思慮のまま先頭に立って、子どもじみたお膳立てに皆を巻き込んでしまったことがあった。
当初、オーアサが苦言を呈してくれたが、それに蓋をしてわたしは話を前へと進めてしまった。
遠く過ぎ去ってよく分かる。
人として必ず汲むべき視点を当時のわたしは欠いていた。
正しかったのはオーアサだった。
大学受験というものはかなり苦しく、早慶であっても決して軽いものではなかった。
各自が各自の戦いに真正面から向き合い、それぞれの死闘をくぐり抜けていまに至った。
だからこそ、全員が師。
33期談義は尽きることがない。