思い立ってすぐ汽車と宿を手配し、三連休初日の朝、東京へと向け出発した。
特に目的もなく用事もない。
どのみち大阪にいてもすることがないから息子たちが暮らす街でのんびり過ごそうとなったのだった。
着いてすぐフロントに荷物を預け帝国ホテル前からタクシーに乗って長男の下宿へと向かった。
土曜の朝、彼は寝入っていた。
「スターどっきり㊙報告」の「寝起きドッキリ」のコーナーを思い出す。
わたしたちは食料を冷蔵庫に詰め、道すがら買い込んだ駅弁やフルーツをテーブルの上に置き、しかし小野ヤスシや宮尾すすむがするようなことは一切せず静かにそっと部屋を出た。
息子は半ば夢うつつといった様子であったが、目覚めてのち夢ではなかったと知ることになるだろう。
そこから歩いて目についた蕎麦屋に入った。
夫婦で向かい合い昼からビールで乾杯し蕎麦をすすったのだが、ここの蕎麦が美しく実に美味しく、天ぷらなど含め細部まで手抜きなく心がこもりかつ食器から料理の見目形まで洗練されていてわたしたちは甚く感動することになった。
本郷に来れば食事はここ。
そう決まった。
谷中銀座で買いたい物があると家内が言うので店を出てバスを乗り継ぎ観光客で賑わう地にて日用品など買い求めた。
続いてはお茶しようと家内が言うから日暮里から御徒町まで山手線を使い、そこからバスに乗って蔵前を訪れた。
街の表情がちょうどいい目線で見渡せて旅する足にバスは格好で、街を隈なく縦横に走るから便利なことこの上ない。
バスの通り道で見かけた店に目星をつけわたしたちは蔵前界隈を散策した。
夕刻が近づいて風が吹き、日中の蒸し暑さはやわらいでとても歩き良い感じになっていた。
カフェをはしごし何かドラマか映画のロケがあってスターの姿もチラホラ見えるがうちのスターは二人しかいないので素通りし、雑貨屋など巡って小物など買って楽しく、隅田川の向こうにそびえるスカイツリーと共に記念写真を撮ってから浅草線で東銀座まで出て日比谷線に乗り換えホテルに戻った。
少し休憩してから日比谷あたりをぶらついて、よさそうな店を選んで夕飯をとった。
スペイン産の白ワインがとてもおいしく、スペイン産ウイスキーで作るハイボールも極上で夫婦二人で結構な量をしっかり飲むことになった。
あとはホテルに帰って軽くサウナに入って眠るだけ。
東京の街はどこもかしこもきれいで快適。
エリアを変えて次の日も夫婦でぶらぶら過ごすことになるだろう。