あれから二年経ったのか三年経ったのか。
父からそう聞かれ、一瞬わたしは言葉に詰まった。
どうやら時間について、人はその差異を定量的に捉えることができないようである。
いろいろな出来事と照らし合わせ、少し考えてから確信をもって三年とわたしは答えた。
しかし今度は逆に母が不在となって三年も経ったということが腑に落ちない。
三年という時間を定量的に感じることができない癖に、改めて三年と聞けばそれを長いと感じる。
未来に向いて思えば三年は長大だが、過去として振り返れば一瞬。
つまり時間などあってないようなもの、そう言ってもいいのではないだろうか。
早朝から起き出し、家内が肉を焼いてあれこれ作ってくれた。
それを実家へと運んで、母の命日であったこの日曜、わたしは父と二人で食事した。
食事を終えて、雨脚が強まるなかクルマを走らせ母が眠る霊園へと向かった。
いつもどおり墓参りを終えると、バスに運ばれ大家族の一団が霊園にやってきた。
みな喪服姿であった。
これから納骨なのだろう。
絶えずどこかで誰かが鬼籍に入る。
そんな人の日常の哀切が胸に沁みた。
実家へと戻り、残り物で父と昼を済ませた。
不思議なもので、二人で食事しつつそこには母も同席しているといった感覚が生じていて、父もそのように感じていた。
しかし姿は見えない。
だからさみしさばかりが募るのだった。
雨が降り続くなか家へと戻り、ジムに向かった。
たっぷり泳いで筋トレしサウナに入って帰宅すると、ほぼ同時に、ヨガとジムとインディバという黄金の美容コースを終え家内も帰ってきた。
煙が部屋に入らぬようわたしはベランダで肉を焼き、家内はその他の料理を準備し、りんご、玉ねぎ、生姜、にんにく、味噌、砂糖、醤油などをブレンドし焼肉のタレをこしらえた。
今回のイッテQの舞台がスペインだったから、二人でみながら食事した。
スペイン旅行はほんとうに楽しかった。
では、次は。
新婚旅行でエディンバラを訪れ、ミリタリー・タトゥーを観たのがちょうど25年前のこと。
この夏は、その旅をなぞるので決まりだろう。
まず先にミリタリー・タトゥーのプレミアシートをオフィシャルサイトで確保して、続いて各航空会社を物色し飛行機と座席を選び、そして滞在するホテルもいいところを押さえた。
25年前と言っても実感としては、つい先日のことと同じ。
このように夫婦で各地巡り歩き、あってないような時間のはずが、二人の時間は実を成してそれが一層濃密なものになっていく。