KORANIKATARU

子らに語る時々日記

これはもう一種の変身と言うしかない

今日も無事仕事が片付いた。

出足は重かった。
あれこれ思い巡らせ滅入るような気分でのスタート。

しかしあら不思議。
助走した途端たちまち一気にトップスピード。

快調な滑り出しの日に比しても何ら遜色のない出来栄え。
半分も片付けば上々と腰引けていたが、タスクノート記載の課題をほぼ殲滅することができた。

本当に不思議なことである。
あれほど気乗りしなかったのに気づけば肉片に食らいつく猛獣さながら。
ガツガツと仕事を噛みしだき、美味い美味いと吠えて叫んで頬張ることができた。

これはもう一種の変身と言うしかない。

何かが取り憑いて、いつの間にか没頭の世界に引き込まれる。
忘我に近い境地であるから、その時間、自分自身が別の何かに成り変わっているという捉え方もあながち間違いではないだろう。

変身について思い当たるところのある人も少なくないに違いない。
ここ一番何かが忍び寄り、ひととき変身。

この現象はまま身近なものであり、変身をごく自然に受け入れる素地が日常にあるからこそ仮面ライダーなど変身譚も別段荒唐無稽には映らない。
日頃変身について経験しているか見聞しているのだから、本郷猛や一文字隼人が変身したって李徴が虎になったって何も不思議なことではない。

知っての通り変身の効果は絶大だ。
ライダーとまではいかなくても、あるときないときの551くらいの差は優にある。

変身前にはできなかったことが、変身後にはいとも簡単。
取り憑いた何かに身を委ねればいいだけの話であるからいたって楽ちん。

そして状況が打開されて後、憑き物落ちたみたいに我に返って今日のわたしのように改めて驚くことになる。

一体どうなってるんだ。
そう首を傾げほっぺもつねるが、手柄は自分。
こみあがってくる充実感はたまらないこたえられない。

だからもし万一「無」変身体質になってしまうとこれはかなりしんどい話となる。

なにせ危機に際してうんともすんとも言わず変身できないのだから、苦戦のなか一向に流れ変わらず苦渋味わい、課題仕留められずもがいてのたうって、結局苦杯を舐めるということになる。

そうならぬよう早いうちから変身について心に留めておくのがいいだろう。
変身体質となるにはコツも年季も必要で、訓練が欠かせない。

雨乞いするみたいに気の長い話ではあるが、いったん呼び込んでその憑き物と馴染みになれば、これほど心強い追い風はない。

きっと君たちもあああれねと思い当たる節があるはずだ。
なんどか変身した君たちの姿を父はこの目に収めている。

しかし油断は禁物。
慢心すればどこ吹く風、行方知れずとなって運の尽き。

その底力は恵みの産物。
そして気まぐれ。
敬意を表し誠を捧げ身を正してこそはじめて、ここぞというとき援軍になってくれる。

目指すは、猛獣使いならぬ憑き物使い。
クラウドからワンクリックで力を引き出すみたいに変身自在となれば日常すべてが名場面となる。

我が家に控える本郷猛と一文字隼人。
この先、変身談義に事欠くことはないだろう。
わたしにとっては老いた後に楽しむ仮面ライダー、耳にするのが楽しみだ。