この日の最終地点は高槻。
家内にクルマで送ってもらい、業務終了まで待ってもらった。
どこかで夕飯でもとクルマを走らせるが適当なところがなく、家内が魚を食べたいと言ったので「魚楽唐唐」を予約することにした。
まっすぐ帰宅して着替え、夕刻、家を出た。
日中に比べ、北寄りの風が強く冷たい。
いよいよ冬。
そう感じられた。
ちょうど真向かいの公園脇にタクシーが停まっていた。
そのまま乗り込み武庫之荘までと行き先を告げた。
コロナの影響で飲食店はどこもたいへんだというが、人気店の盛況ぶりにかげりはなかった。
すでに満席。
たまたま空きが出たから席にありつけた。
運が良かったというしかなかった。
おすすめどころを注文し、どれも美味しく予想通り家内は大いに喜んだ。
受験が終わればここ、息子が帰ってきたときにはここ、息子の友人らも連れてここ、といったように家内のイメージは膨らんで、それはたいてい実現するから今後ちょくちょく利用する店になることだろう。
駅まで歩いて、阪急オアシスで息子の夜食のための食材を調達した。
買物をしながら家内が言った。
私にできるのはおいしいご飯を作ることだけ。
母業に満点はないけれど、後悔のないよう最後までおいしいご飯を食べさせてあげたい。
冷え込みは強まっていたが、両手に荷物をずっしりと提げ限界ギリギリ。
だから寒さは感じなかった。
タクシーに乗り込み窓外の景色を眺めてしみじみ思う。
二男が上京すれば、こんなに買物することは盆や正月くらいだけになるのだろう。
さっき家内の言った言葉の意味が心に沁みた。