KORANIKATARU

子らに語る時々日記

旅の主導権は相方に移って久しい

結婚後、旅の主導権が移った。

だから今では出発前に下調べが為され行程表が作られる。
当地にて見ておくべきもの食べておくべきものに漏れがない。

結婚前、わたしの旅の仕方は、「行き当たりばったり」であった。

最低限の空路のみ予約し、現地に入って宿を探し、次なる目的地を現地で決めるといったやり方であった。

結婚時、主導権はわたしにあった。
だから新婚旅行の目玉はエディンバラのミリタリー・タトゥーであったが、当の会場のチケットを取らぬまま出発した。

チケットの入手は簡単ではないだろうが何とかなる。
そう思っていたとおり、宿泊先のホテルのポーターに頼んだところ、どこかから2枚手に入れてくれた。

念ずれば通ずである。
本当に運が良かった。

わたしたち夫婦の運試しのようなものであったと言えるかもしれない。
そのチケット2枚がわたしたちの行く手を照らしてくれたようなものである。

もし手に入らなかったとしたら。
とても残念な旅行になったことだろう。

帰途は日本へと直行する便が取れず、アムステルダムで一泊するという旅程であった。

朝早くスキポール空港から鉄道でシティセンターへと向かい、適当に街を歩いて、時におっかなびっくりし、行き当たりばったりの店で食事し、そして空港隣接のホテルへと戻った。

だからアムステルダムの記憶は、散漫にしか残っていない。

昨夜、映画を見た。
「きっと、星のせいじゃない」。

若いカップルがアムステルダムを旅するシーンがあった。
なんて美しい街なのだろう。

アムステルダムの見どころ、とネットで調べれば即座に数々あがる。
アンネフランクが身を潜めた屋根裏があり、ゴッホ美術館があり、運河があり無数の橋があった。

いくらなんでも行き当たりばったりに過ぎた。
ちょっと調べて臨めば、もっとインプレッシブなアムステルダム体験となったに違いなかった。

なんて惜しいことをしたのだろう。

しかし、これからは安心だ。
旅の主導権は相方に移って久しい。

今後どこを訪れようと、あとで悔いるということは起こりえない。

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