鶴橋で降り、アジヨシに寄った。
冷麺を食べてから実家に向かった。
家内が焼いた肉のみやげを父は喜んだ。
暑い夏、肉が欠かせない。
父は頑健であるが、まもなく八十になる。
時の流れには逆らえず、徐々に老いが兆して、だから父の話はカラダの不調ばかりを巡っていく。
常にクーラーをつけておくようにして、とにかく食べてよく眠ること。
息子として助言できるのはそんなことくらいしかない。
楽しい話題と言えば孫らのことで、彼らがまもなく帰ってくることを伝えると父は喜んだ。
一時間ほど過ごして実家を後にした。
道中、家内と待ち合わせてそのクルマに乗り込んだ。
家内は家内で自分の実家に寄った帰りだった。
運転を代わってわたしがハンドルを握り、夕飯は肉を焼くというから上六のやまたけで牛肉を買い、近鉄百貨店で飲み物を選んだ。
その足で家内をヨガの教室まで送り、わたしは帰途に就いた。
真夏の空のもと下道を使って長い道のりを走り、親のことを思った。
わたしたちが結婚したとき、親は全員が五十代だった。
いまのわたしたちとさして変わらない。
その当時のままずっと元気であると思い込んでいたが、気づけば親はもう八十なのだった。
この秋、両親を東京見物に連れていくといって家内は張り切っている。
うちの息子たちの暮らす世界をひと目見れば両親が喜ぶ。
そう思うから、その旅が良いものとなるよう宿泊するホテルや案内するコースにも万全を期す。
あとで後悔することがないように。
いつの間にか、子としてそんなことを考える時期に差し掛かったのだった。