KORANIKATARU

子らに語る時々日記

帰る家があって幸い

全身がかじかんでくる。

ホームに立っているだけでつらい。

 

哀感さえ伴う寒さの夜。

電車が来るのを懇願するような気持ちで待ちわびる。

 

家内からメールが入った。

夕飯はアンコウ鍋、それに上物のサザエもある。

 

鍋から立ちのぼる湯気が頭に浮かぶ。

寒さが一瞬やわらいだような気がした。

 

今夜は焼酎のお湯割り、そう決めた。

そば焼酎と梅干し、それにお湯の支度をよろしく。

そう家内に返信した。

 

電車乗り継ぎ駅を降りる。

土曜夜の9時。

いつもは混み合う改札は閑散としていた。

 

早足で家に向かう。

 

まもなく家が見えてきた。

小ぶりに佇んでいるはずが、煌々と光がともっているせいか、そびえ立つように大きく見えた。

 

食事の用意はすでに整っていた。

家内の二万語を耳にしての晩酌。

 

笑いあり涙あり、芯あって情あって、有用な情報の一方、とりとめないような四方山話もあって色を添え、飽きることがない。

 

そこらのラジオを聴くより本を読むより家内の話の方が断然面白い。

 

息子らはとっくに夕飯を済ませている。

階上を行ったり来たりする二人の物音に時折、耳をそばだてる。

 

これぞ生活の実質、家庭の息づかいである。

彼らの気配を感じるだけで心満たされる。

 

息子らはそれぞれ三杯もご飯をお代わりしたという。

家内が嬉しそうに語る。

 

その三杯がすべてを物語っている。

目に浮かべるだけで楽しい気分になってくる。

 

日曜を前に、家はくつろぎとやすらぎのなかにあった。

天気予報によれば快晴の日曜日。

どう過ごそうと良い日になるにちがいない。

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Odilon RedonFlower Clouds 1903.