思わず顔ほころぶ胸すくような快晴。
家内が運転し、わたしは助手席に座って中央フリーウェイと決め込んだ。
降り注ぐ陽光を跳ね上げるようにクルマが走る。
阪神高速は日曜の装い。
サンデードライバーが大勢おでましだからだろう、車列の流れ自体がのんびりくつろいだように感じられる。
この日は、待ちに待ったカタシモワイン祭りの日。
会場は、柏原堅下のぶどう畑。
その地で醸造された数々のワインが計7会場で振る舞われる。
もちろんワインだけではなく、食も充実。
関西各地の名店が出揃い、十八番の料理をワインに添える。
義父母を伴い会場に足を踏み入れた。
思った以上の賑わい。
ワインチケットを買うと、一人一人にワイングラスが配られた。
まるで髭男爵。
ルネッサーンスとグラス掲げるようにし各会場を行脚することになった。
麓からスタートしなだらかなぶどう並木の道をのぼっていく。
各会場で足を止め、その畑特有のワインを味わい屋台の料理を楽しむ。
わたしも家内も驚きの連続であった。
ワインの何たるかをはじめて知ったようなもの。
一口飲むたび顔を見合わせた。
微妙なニュアンスとでも言うのだろうか、寡黙にみえてどれもこれもが深みあって豊か。
その味わいに魅せられた。
最終地点は丘の上。
大阪平野を一望し、静かゆっくりとワインを味わう。
左手には古市の古墳群、右手にはあべのハルカス。
日本の歴史を始期から現代まで貫く一大絵巻を眼前にしているようなものである。
極楽浄土を絵にするなら、平等院鳳凰堂よりこの丘の方こそふさわしいかもしれない。
だから数えれば、味見程度の義父母に対し、われら夫婦は二人で16杯。
文字通り、天にも昇る夢見心地のワイン三昧となった。
2017年11月19日13:00 柏原市太平寺 中辻ぶどう畑