午後10時、二人の息子はまだ戻ってこない。
下の息子は朝5時に出発し、日中は試合に出場し走り回って夜は塾。
上の息子も朝から晩まで飽きもせず塾で過ごす。
丈夫で元気。
それが何より。
息子の帰りに合わせ家内は夜食の支度をはじめ、彼らが起き始める時間に合わせて朝食を準備し、弁当まで作る。
骨折りであるはずだが、これが子らの丈夫さにつながるのであれば、嬉しいという気持ちの方がまさる。
アニマル・プラネットなどで特集されれば、胸あたたまるホモ・サピエンスの母子物語として少しは関心を寄せられるのではないだろうか。
わたしは間近で過ごす視聴者のようなものであり、熱烈なファンみたいなもの。
なにしろ我が身同然、というより、我が身以上に大切な存在が、そこに在って話して動く。
この母子物語のハッピーエンドを見届けられるなら、これ以上に幸せなことはなく、そのためにできることがあれば何でもしようと思う。
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