セパ両リーグともナイトゲームにて開幕となった2019年3月29日、長男にとっては旅立ち前夜であった。
といっても感慨にふける様子は一切なく、身のまわりを整理整頓することもなく平素とまったく変わらない過ごし方をしていたようである。
わたしはと言えば貰いもののチケットがあって若きトラキチりょう、その父である天六いんちょ、そして安本先生らと京セラドーム一塁側に陣取ってタイガースに声援を送っていた。
昨年同様、タイガースの貧打は相変わらずで見どころはピッカピカの投手陣。
メッセンジャーにジョンソン、ドリス、能見、桑原。
その投球を見るだけで大人は十分に楽しめた。
特に左腕能見のピッチングなど強く美しく、その140kmは右ピッチャーの150kmくらいの威力を感じさせ、左右非対称である野球の奥深さを目の当たりにさせられた。
そしてこの日もっとも球場を沸かせたのが延長11回裏、代打で登場した鳥谷だった。
名がアナウンスされただけで声援が地鳴りみたいな凄みを帯び、粘って放った打球があわやホームランという大飛球であったから、白球の行方追う観衆全員が息を呑み、時間の流れがそのときだけスローになって静まって、右中間を破ったと分かったとき、歓声が炸裂した。
左打者が放つ大飛球が描く弧の美しさは球場でなければ分からない類いのものであり、それが最終盤のここという瞬間に出現したので誰もが震えのようなものを感じたのではないだろうか。
そういう意味でスタンドで観戦してこそ味わえる野球の見せ場が随所にキラリと光る実にシブいゲームであった。
次回は甲子園。
5/12は中日戦、5/18は広島戦。
どちらもデーゲーム。
好天に恵まれることを祈りたい。