激しく雨降る日曜の昼、ガーデンズへと続く山手幹線はたいへんな混みようであった。
だから、昼を大起水産で食べようとのわたしの思いつきは眼前にひしめく車列を目にした途端に一蹴された。
まるで聖地巡礼。
世界中のクルマが集結し西から東からガーデンズを目指しているようなものであった。
わたしたちは裏道へとまわり寿司は寿司でも西宮の内海を目指すことにした。
子らが小さい頃はたまに寄ったが、このところは他に行く店が増えすっかり足が遠のいていた。
雨は激しく降り続く。
駐車場にクルマを停め、傘を差してほんの百メートルの距離を歩いただけであったが、裾から袖からずぶ濡れになった。
だから閑散と静かな店の最奥の席では落ち着いた。
ひなびた温泉場の寿司屋にでもいるような情緒を感じた。
家内と向き合い同じにぎりをつまみ、締めにトロたくを一緒に食べた。
雨を横目にぼんやり過ごして食べる寿司はことのほか美味しく感じられた。
近場に出たら普段ならアクタかガーデンズに寄って食材を買って帰るが、この日はさっきも述べたとおり聖地巡礼。
近寄れば往生するのが目に見えていた。
目先を変えて西へと向かい、芦屋岩園のいかりスーパーに向かうことにした。
引き続き雨は土砂降り。
だから地下駐車場に空きはなくクルマで並ばねばならず、仕方ないので離れの駐車場にクルマを停めた。
いつもどおりの順で買物をし、昼が寿司だったので夜は肉ということで話が決まった。
紙袋を2つ提げ傘も持つというのは難行で、しまいには耐えきれず、重荷から一刻も早く解放されんと雨のなかわたしはクルマまで走ってこれまた再びずぶ濡れになった。
まだまだ雨は降り続く。
そんな午後、家のリビングに優る場所はなかった。
家内は録り貯めてあったドラマを見始め、わたしはドラマを横目に溜め込んであった朝日新聞の紙面をめくり、二男に読ませるべき箇所を抜き取っていった。
雨降る日曜、このようにずっと一緒に過ごし、ああ、わたしたちは夫婦なのだなとぼんやり思った。