断続的に雨の降る日曜、長男を連れ母の眠る墓を訪れた。
以前なら下町の実家にぶらり寄り、顔を見て声を聞くことができた。
いまは静かに手を合わせ、優しい笑顔と明るい声を思い出すことができるだけである。
雨も手伝ってしんみりと過ごし、胸中とは裏腹、各自無言でクルマに戻った。
午前中のまだ早い時間だったが、道中で昼をとることにした。
家内の発案で鶴橋の「入船寿司」に向かった。
窓外にディープな大阪の光景が広がり無限に続く。
じっと見入って息子は言った。
時間を逆戻りしたように感じる。
息子の言う通り、東京と大阪では時間の位相が実は異なるのかもしれなかった。
クルマを停め開店前の「入船寿司」の前に立った。
他に並ぶ客はいなかったので、一番乗りだと思ったのも束の間、店先を掃除している女将が言った。
今日はもう予約で一杯ですよ。
そのつれない言葉は、わたしにはアホが見る豚のケツといった風に聞こえた。
風景とシンクロするのか、東京と異なり大阪は言葉も時に闇深い。
気を取り直し、家内に率いられた一行は「すし銀」を目指した。
幸い二巡目で席にありつけるとのことで、四十分待っただけで済んだ。
入船よりすし銀の方がおいしい。
並ぶ人がそう教えてくれたとおり、とても美味しくたっぷり食べて三人で18,000円だったから、価格もかなりお手頃と言えた。
続いて西宮ガーデンズに向かった。
ラルフローレンで服を買い、ABCマートで靴を買い、ソフトバンクでiPhoneの機種変更を済ませた。
これにて家族四人の機種変更が完了となった。
このようにして長男は次の日帰京する。