KORANIKATARU

子らに語る時々日記

DNAを引き継ぐ


海の日の夕刻、ムービープラスではランボーシリーズが連続放映されている。
ソファにもたれ、ぼんやりと眺める。

一体なぜ、戦闘しているのに上半身ハダカなのだろう。
それにしても凄い筋肉だ。

脇本くんの言葉を思い出す。
スタローンの筋トレは普通じゃない。
百回、二百回といった仕方ではなく、部位ごとに時間をかけて、つまり、部位ごとに数時間単位でトレーニングしてみっちり鍛えるんだ。

中一の頃の帰り道に聞いた話である。
当時一緒に帰っていた星光33期の面々を思い出す。

カネちゃんは医者になり、榎さんは弁護士になり、脇本くんは物理学者になり、ケイちゃんは日本で一二を争う現代文の大先生となった。

いわゆる勤め人はいない。
所属する組織名より先に、プロとしての職業が来る。

一緒に帰っていた仲間だけではない。
たいていは勤め先云々以前に何かに秀でた者として成り立っている。
プロのゼネラリストもいればプロの社長もいる。
皆ひとかどのプロフェッショナルだ。


メールの着信がある。
大学の研究室から毎月月報が寄せられる。

冒頭で恩師が近況を語る。
毎回、学び多く実になる。
味わうようにじっくりと読む。

『人は「生かされて」いる以上、使命、役割を担っているわけでそれを果たさなければなりません。

人は自分で生きているような気になっていますが、本当は生かされているだけなのです。

何かいいアイディアが浮かんでくる、ふっと何かを思い出す。

それは自分の能力でやっているように思いますが、実はそうではなく、生かされている使命を果たすために「天使が降りてくる」のだと、最近ではそんな風に考えています。

だからこそ、自分の能力は人のために、特に次の世代のために役立てなければならない。

自分のためではないのです。

少なくとも自分のことは後回しにしなければ、生かされていることに対して申し訳が立ちません。

大隈重信早稲田大学が作るべ人物像を「終身努力して犠牲的精神で利他に尽くす人」という趣旨で述べています。

この精神に従って早稲田大学は133年の歴史を刻み、DNAを引き継いできたと思います。

特に社会の様々な組織でのリーダーである以上、この心構え、行動様式を完遂することが早稲田大学出身者には求められます、、、、』

恩師の言葉であるから、すんなり入って素直に初心に帰ることができる。

その気になればどこでも「混ぜてもらえて」いつでも帰っていける大学であり、一匹狼気取って一人勝手にあれこれしていても温かく見守ってくれる大学でもある。

そのような包容力を実感として覚えるのであるから、やはり、出身者を貫く共通項として早稲田DNAというものは実在しているのだろう。


長男が練習を終えて帰ってきた。

ザ・シネマでは「燃えよドラゴン」が始まる。
二人で見る。

見始めてすぐに分かった。
ランボーが上半身ハダカなのも、北斗の拳のケンシローが上半身ハダカなのも、これはみな、ブルース・リーが上半身ハダカになるからなのだ。

もとはそこだ。

私が日曜洋画劇場などで「燃えよドラゴン」に夢中になったのは、小学生の頃、30年以上も前だ。
放映される度、親父や弟と一緒に見た記憶がある。

燃えよドラゴン」が定点となって、今と昔が、通じ合う。
その昔に親父と見た「燃えよドラゴン」について、長男に語る。

そして、ブルース・リーは万国共通かつ時代を超越する大スターであると教える。

遠くインドを旅してもモロッコを旅しても、場末の売店にブルース・リーのポスターが貼ってあって驚いたことがあった。
誰でも少年は彼に憧れるのだ。

画面から流れるブルース・リーのアクションに長男も引き込まれていく。

動きで世界を魅了した者は数多あっただろうが、その二枚看板はブルース・リーマイケル・ジャクソンだと言えるだろう。
長男も強く関心持ったようで、YOUTUBEで名場面などを検索し始めた。
何かが引き継がれた瞬間であった。
ブルース・リーは不滅だろう。

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