KORANIKATARU

子らに語る時々日記

この世は結構スパルタだ

学校関連の行事があって、家はわたしと二男の二人だけ。
作り置いてあったカレーを二男が食べている。
あまりに美味しそうなのでわたしもカレーで夕飯を済ませることにした。

家のカレーを食べるなど久しぶりのことであった。
家庭定番の素朴な食事が美味しいことは幸せなことである。
生活の基盤にしっかりとした手料理があることの有り難みを子らもいつか知ることになるだろう。

リビングのステレオからユーミンのひこうき雲が流れる。
食べる手を止め、二人して想いにひたって聞き耳を立てる。
なんて切ない曲なのだろう。

二男とは33の歳の差であるが、出生は同じバルナバ病院であり、数学についてはαもβもわたしのときと全く同じ先生という組み合わせ。
そのような不思議な巡り合わせを思いつつ、向き合ってカレーを静か味わう。

食後、一人で映画を見る。
「帰ってきたMr.ダマー バカMAX!」。
前作「ジム・キャリーはMr.ダマー」から20年以上も経過したと思えないほど、そのアホさ加減は褪せることなく健在であった。

アホさが熱帯土砂降りの豪雨のように降り注ぎ、心が一気に退行していく。
呆けたようになってアホの世界で泥まみれとなる。

何も考えなくていいといった極限の弛緩に身を浸し笑い続ける。
頭のなかに居座るあれやこれやもこのときばかりは行方くらまし、歯痛がいっとき止むみたいに安らいで、なんて心地いいのだろう。

そして見終えて、すぐ現実に包囲された。
気抜け状態をほしいままにできた虚構の太平楽は、あとかたもなく姿を消し去った。

そうそう、油断も隙もあったものではない。
現実は容赦がない。
ざらついた手つきでいつどこから襲いかかってくるか知れたものではなく、対処できるよういつでも身構えておかねばならない。

学びが絶えぬようにという神様の心優しい計らいなのであろう。
この世は結構スパルタだ。

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