KORANIKATARU

子らに語る時々日記

男子の文法を身につける

蒸し暑い夜、空調効かせた部屋で下の息子と二人で過ごす。

食べ物の話となって夏はカレーだろうと意見が一致した。

 

CoCo壱番屋のカレーが美味しい。

最近その味に魅了され足繁く通う者として喧伝するが、彼の方が早くに常連であることが分かった。

 

互いお気に入りのメニューについて語り、口はすでにカレーを求め始めていたので明日はそれぞれどこかでカレーを食べるのだろうと想像できた。

 

あ、そうそうと二男が思い出したように聞いてきた。

LEEの25倍カレーの効き目は実際どうだったのか。

 

二男がうんと小さかった頃のこと。

わたしはしばしばLEEの25倍カレーを朝食にしていた。

もちろん家内には内緒であり、LEEのカレーを下駄箱に隠していたことは二男しか知らない。

 

これを食べればガツンと元気になって朝から燃える。

仕事ねじ伏せる勢い得るにはこれくらい必要なのだ。

未明の時刻にハフハフ言いつつ25倍の激辛の意義について二男に語ったのであったが、彼はその熱弁を覚えていた。

 

この親父は少し変。

そんな印象が強かったせいで強固な記憶として焼き付いたのだろう。

 

カレーの話から仕事へと話題は移り変わった。

当時はいまとは比べ物にならないくらい忙しかった。

辛さの力でもなんでも借りて、まっしぐら仕事しないと立ち行かなかった。

つまり、激辛と激務は軌を一にしていたのだった。

 

いまではもう激辛は必要ない、たぶん。

 

何事もほどほどがいい。

カレーがその辛さで人生の真実を教えてくれる。

 

二男が自室へと引き上げわたしは寝入った。

が、真夜中になって起こされた。

現れたのは長男だった。

 

ベッドの脇に立ち、手を差し出してくる。

つられてわたしも寝床から手を伸ばす。

 

手と手が合わさってわたしたちは握手した。

 

手にぐっと力を込め、彼は言った。

悪かった。

それだけを言って彼はわたしの部屋を出ていった。

 

そういえば朝のこと。

ちょっとした行き違いで、互いエスカレートし強い言葉で応じ合うという場面があった。

 

わたしは何も気にしていなかったが、彼の方は気になっていたのだろう。

 

そうそう、握手が男子の仕切り直し。

過ぎ去った言葉の応酬などどうでもいい。

 

握手という男子の文法を彼なり学んでいると分かって安心だ。

何かの腐ったみたいに根に持ってねちねちすれば陰々滅々で気色が悪い。

男なら男らしくありたいものだ。

 

彼と握手するのは二回目のこと。

一回目は伊丹空港。

彼がカナダから帰国し三ヶ月ぶりの再会を果たしたときのことだった。

 

おそらく三回目の握手のシーンがもう間もなく訪れる。

周囲の情景も含めてその様子がありありと目に浮かぶ。

ひとつの節目。

前途を祝しての固い固い握手となるはずだ。

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Jack Barnosky