前夜の牛肉とは打って変わり、この夜ベランダで焼かれたのは豚バラ。
上の息子は学校帰りに勉強中で、下の息子はガーデンズでひとり映画鑑賞中。
二夜続けて夫婦で食卓を囲むことになった。
冷やしてあった白ワインを開けて乾杯。
Spotifyから送られてくる音楽をBluetooth経由で流してBGMとする。
CDを買って音楽聞いていたなど太古の話。
住みよい日本、水と安全だけでなく、いまや音楽もタダとなった。
そう考えれば、動画配信についてもネットフリックス全盛の時代、いまだTSUTAYAでDVDを借りて映画見たり、スカパーと契約しているなど、懐古趣味にもほどがあるという話だろう。
そんな話をしつつ子らの将来について夫婦で想像を巡らせる。
映画『キングスマン』で分かるとおり、フォーマルなビジネススーツこそが男子の戦闘服。
仕立てのいいスーツに身を包み、世界を縦横駆け巡るようであればかっこよく、親として思い残すことは何もない。
ちびっ子の頃はラグビージャージを着てどろんこになって格闘した。
今度はスーツを身にまとい並み居るライバルたちとしのぎを削る。
世界が舞台であれば更に血湧き肉躍る。
たまには食事に誘ってくれるだろう。
テーブルを挟み戦果について語る息子の話にわたしたちは耳を傾ける。
親なのにまるで無邪気な子どもが紙芝居に見入るよう。
そうかそうかと頷いて相好を崩す。
そんな光景を想像しながらであったので、ワイン一本空くのはあっという間のことであった。