連休の谷間、仕事がさっさと片付いたので早めに引き上げた。
雨なのでお迎えよろしく、と家内からメールが届く。
西宮北口に向けクルマを走らせた。
この日、甲子園では阪神対DeNA戦が行われる予定であったが、雨で中止となった。
観戦を楽しみにしていた下の息子は、中止と分かっているにも関わらず友人を引き連れ甲子園球場まで出向き実際に中止であることをその目で確かめた。
彼らの無念に胸締めつけられるような思いであったが、幸不幸は隣り合わせ。
心優しい足長おじさんから、DeNAの後に控える中日戦のチケットがあるとの連絡を受けた。
この報せに息子は歓喜した。
雨脚は強まるばかり。
ちょっとした気の緩みが大過を招く。
安全のうえにも安全を期して慎重に運転し、西宮北口に着いたときには単に運転しただけなのにくたびれ果てた。
それで気晴らしがてら家内と食材など買物してから家路についた。
この夜も家内とワインを開ける。
子らの夜食のビーフシチューを味見しつつ赤を飲み、両隣の娘さんらの話題になった。
まるで示し合わしたかのよう、左右両隣の姉妹はともに同志社の附属校に通う。
そのうち両隣の姉妹揃って総勢4人が同志社大学の学生となる。
先日、阪神間および北摂一帯で進学塾を経営する事業主と話す機会があった。
その際聞いたのであるが、いま関西私学においてはかつてのような均衡はなく、同志社の一強状態だそうである。
同志社が頂点に立つシンボル的な存在なので生徒には、「同志社を目指すくらいで頑張れ、そうすれば関学には通る」とハッパをかけるのだという。
うちの子らが激戦下の進学塾に通ってあたふたしている同じ時、両隣がそれぞれ通っていたのはともに牧歌的なおもむき漂う近所の学習塾であり、しかも小学5年に入ってからの通塾であった。
週2,3回で月謝も安い。
それでだいたい中くらいの成績で同志社が射程に入るということだった。
が、大学入試の位置づけを見れば、同志社が中くらいで入れるなどあり得ない話であり、関西私学文系において押しも押されもせぬ最難関の座を占めている。
つまり、かなりのお値打ちを底値で手に入れた、といったような話と言えた。
なるほど、先見の明。
両家の賢い奥様は、やはり噂に違わず頭が良かった。
情報が分析できて、先々見越しての戦略が描ける。
このような母のもと、子らはすくすく育つというものだろう。
どうやら母性には子にまつわるアラームとセンサーが内蔵されている。
アラームが思考を促し、センサーが最良の選択を見出す。
賢母の系譜を引く彼女らもおそらく優秀。
同志社は圧倒的な存在感をもって引き続き関西ナンバーワンの座で有り続けるのだろう。