時計を見ると朝の5時半。
台所から届く物音で目が覚め、階下に降りた。
すでに家内はフル稼働。
いつにも増して勢いがあった。
先日、京都の「洋食おがた」で動きを学んだ。
家内はそう言った。
単に食べるだけでなく、目にした動きを取り入れ料理にも活かす。
彼女の学習能力は並ではない。
仕上がった作は、朝食も弁当もかなりの出来栄え。
ほぼ毎日安定した出力を果たせるから根っから勤勉なのだと言っていいだろう。
で、わたしたちを送り出した後、ジムに行きあるいはヨガに励み、併せて事務所の仕事も手伝って、空き時間には語学を磨きいま新たな資格取得も目論んでいるから、真面目であって努力家とも言える。
そして、それら有用なスペックに運動神経とユーモアセンスという付録がついて、子らがそっくり丸ごと受け継いだ。
彼らのなかにこのおかんが宿っている。
そう思えばなんと心強いことだろう。
言い換えれば、彼らは男子の鎧をまとった家内の進化版。
家内が男だったら、こうなっていた、ああなっていた。
そのすべてが目の前で実写化されていくような話であるから、傍で見ていて血湧き肉躍る。
ところで、息子はわたしから何を受け継いだのだろう。
考えても即座には浮かばない。
強いてあげれば、大学受験程度までの理数系の学力だろうか。
何の役にも立ちゃしない。
ほんと男親というのはチッポケなものである。