月曜の仕事後もジムに連れられた。
たまたま家内のジム友女子が居合わせた。
バーベルをしっかりやった方がいい。
ジム上級者である彼女の言に従い、その監督下、何度も上げ下げすることになり、疲弊した。
胸に続いては腿。
同じく指導という名の監督下、目いっぱいの負荷に耐え上げ下げし、見栄もあるから張り切り過ぎて、腿よお前もか、疲弊した。
そうそう。
男なら胸と腿だけとことん鍛えれば十分。
ジム友女子は総括して言った。
そう言えば、長男からも同じ助言を受けていた。
腹筋や有酸素などしなくていい。
胸と腿だけ鍛えれば、基礎代謝がアップするから自然に均整が整っていく。
息子には生返事をしその助言を無視し過ごしてきたが、やはり向かい合うべき課題からは逃げらない。
この日がそうだったのだと痛感した。
逃げれば逃げるほど課題は追ってくるということである。
ジムを終え、英語のオンライン・レッスンに臨む家内を横に乗せ、わたしがハンドルを握った。
途中、仕事の電話がかかってきたので、コンビニにクルマを停めた。
わたしは車外で足を蚊に噛まれ、家内は車内で涼風に吹かれ、めいめい各自の喋りに勤しんだ。
英語レッスンが終わってすぐ、東京に越していったママ友から家内に電話がかかってきた。
スピーカー設定になっているから、相手の声が車内に響く。
野球が上手で頭の良かったカズマ君は、いま東大生。
会話の合間、そんな情報が寄せられた。
息子らがちびっ子の頃、目の前の公園でよく一緒に遊んでいた。
小学一年の段階で表札の漢字を軒並み読みこなす天才だったから、転校した後もカズマ君のことを忘れる者は誰もいなかった。
そうこうするうち、クルマがその公園に差し掛かった。
放課後、皆で集まってサッカーしていたあの数名の小集団が目に浮かぶ。
小さな子どもたちがいまや青年。
しかも相当なもの。
京医や一橋法や東大理1に現役で受かり、陸上やサッカーで名を馳せる者もあり、皆が皆、良き成長の過程を歩んでいるようであるから、ジンとくる。
彼らはここから巣立っていった。
彼らにとって思い出の地であるはずのグラウンドを眺め、家内とともにしばし感慨にふけった。
子の成長譚ほど心を満たすものはない。