業務を終え、喜び勇んで心斎橋へと向かった。
声が掛かれば断らない。
わたしの飲み会出席率はゴロフキンのKO率をはるかにしのぐ。
この日誘ってくれたのはもちろん大阪星光33期。
ホテル日航にある但馬屋で向き合った。
ビールからハイボール、そしてワインが赤白。
気兼ねなく楽しく飲めて、その場が実に心地いい。
やはり大阪星光は素晴らしい。
わたしが前にするのはタコちゃん。
今もって引き続き学校一の人気者である。
人にはいろいろな立ち位置がある。
先頭に立つ者がいて、隅っこに立つ者がいて、我関せずと離れて立つ者がいる。
タコちゃんは、いつも輪の中心にいる存在と言えるだろう。
島田市長が立候補したときには応援のため壇上に上がり、誰かお祝いの会や同窓会があれば司会のマイクを握る。
その昔、誰かが言った。
タコちゃんに好かれたい。
医者仲間もみなそう思っている。
タコちゃんを見失えば、輪からはぐれる。
だから当然のことだろう。
そのように皆が輪に加わるから、巨大化する樹木の年輪のように輪が厚みを増し続けることになる。
その構図を地理的に見れば、阿倍野天王寺の中心がタコちゃんのクリニックだとの理解に至る。
壇上に上がったり、マイクを握るのはたまのことだが、診察室にはいつもいるのだから自ずとそうなる。
来月もまた会う約束をして、じゃあね、と言って手を振って別れた。
そろそろまた皆に声をかけよう。
輪の集結を思って楽しくなって、タクシーのなか笑みがこぼれた。