間食したのがよくなかった。
コンビニに陳列されていたエビカツバーガーに一体なぜ手が伸びてしまったのだろう。
ワークアウト前の腹の足しにしようと思ったが、おそらく油が合わなかった。
かなり気分が悪くなって、軽い嘔吐感と倦怠感がどっと押し寄せてきた。
半額との表示を見てこれ幸いと思ったのが甘かった。
結局、高くついただけのことだった。
帰宅し、しばし思い悩む。
今日はジムを休もうか。
しかしわたしは立ち上がり、自転車にまたがった。
タイヤの空気が抜けていて体調不良もあいまって、いままでこれほどペダルを重く感じたことはなかった。
それでもジムへと向かうのは、もう半ば依存体質になってしまったからと言えるのだろう。
ぶたれようが足蹴にされようが突き飛ばされようが、もうジムなしではいられない。
そんな男になってしまったのだった。
果たしてルーティンをこなせるのだろうか。
そんな不安は水に入った瞬間、溶けてなくなった。
泳ぎ始めたら気持ちがいいのなんの。
それでわたしは一つの真実に到達したのだった。
動けば「快」。
野生動物などは、普通に地を駆け水を掻き空を飛び、その真っ最中において「快」の状態に置かれているに違いない。
それが生き物のノーマルで、ヒトだって同様。
だから置物のようにじっとするなど反動物的行為の最たるもので、「快」に置いて行かれてしまうから気鬱になって食事が喉を通らなかったり寝付けないといった現象が身に生じることになるのだろう。
動けば「快」で、その「快」が底力の封を開け放ち、体調不良などものの見事に消え去った。
ルーティンをこなし終え、ガーデンズの自転車置き場でタイヤに空気を入れ、走り良さを取り戻したチャリにまたがり帰宅した。
月曜だからもちろんお酒は飲まず、エビカツバーガーにしてやられた胃腸を休めるため何も食べずに横になった。
ひんやりとした夜風が部屋のなかへと入り込み、風のまにまに漂って手にした書物のページをゆっくり繰るが、たっぷり「快」を満喫したカラダはいとも呆気なく眠りの淵へと引き込まれていった。