大阪に深刻な被害はなかった。
が、最強の台風が来るとのことで週末の予定がいろいろと変更になった。
当初、東京から長男の女子友がうちに泊まりに来ることになっていた。
娘みたいな歳の子であるから、一緒に出歩くことを家内は楽しみにしていた。
しかし飛行機は飛ばず新幹線は走らず、彼女の来阪自体が残念ながらとりやめになってしまった。
それで結局、家内は時間を持て余してしまうことになった。
台風などどこ吹く風、大阪は夏にしては過ごし良い曇り空で出かけるにはうってつけという天候だった。
が、かつて寝食を共にした息子たちは東京で暮らし、代わりになるような姪っ子などおらず、近所の歳下女子らも巣立ってしまって気軽に声も掛けられない。
かつ、わたしはこのところますます忙しく、この週末も出先にて業務の予定が入っていた。
手持ち無沙汰のまま改めて眼前の景色に目を凝らし、そして家内は痛感することになった。
いるようで、いない。
この歳になると気軽に一緒に過ごす相手など、いるように見えて実のところいないのだった。
嫁に行ったからには実家とは疎遠で、友人らにはそれぞれに家庭があって一定の配慮が必要で、あれこれ知り合った知人らはまあどうでもいいようなあれこれの渦中にあって簡単にタイミングなど合わず、それ以前にタイミングを合わせるのも面倒でもとよりあてにする謂れもない。
で、視線は一巡りして、ああ、これかといったとても残念な感じでわたしへと行き着くのだった。
仕事が早く終わった火曜日、わたしは家内に声をかけられた。
それでひさびさ一緒に食事した。
蕎麦を食べ、やはりここらでは土山人がいちばん美味しいかもねといった他愛のない話をして、通りかかったマッサージ屋に空きがあると分かって二人してオイルマッサージを受けた。
台風が来ようが周囲から人がいなくなろうが、切っても切れない。
なるほど。
こういうのを連れ合いというのだろう。
紙パンツをめくられた半ケツ状態で臀部を揉まれ、ふむふむなるほどとわたしは思った。