炭で焼かれたばかりの鰻が二尾。
それが視野に入って、いったん通り過ぎたが戻って買い求めた。
ただでさえ希少となっているのに今季歴史的不漁に見舞われた。
そのうち鰻は幻の食材となる。
目が合ったのもなにかの縁。
夕飯への飛び入り参加となるが、鰻であれば家内は可としてくれるだろう。
払いを済ませようと五千円札を差し出すがそれでは足らず、ほんのり気恥ずかしい思いとともに鰻の高騰を思い知らされることになった。
JRを使って帰宅の途につく。
途中、尼崎駅を前に電車が突如停車した。
芦屋駅の線路に人が立ち入った。
安全確認のため全車両が停車しているとのことだった。
人騒がせな話であるが日曜夕刻、どこか遠くへ逃げ出したい、そんな思いに駆られる人もあるのだろう。
家内にメールする。
電車が停まってしまったので六時半には間に合わない。
餃子焼くのは帰ってきてからにする。
そう家内から返信がきた。
餃子と鰻、相性はよくなさそうだ。
家内がするキャスティングは明らか。
明日の朝食、そして弁当に鰻は回されることになるだろう。
ほどなく電車が動いて結局六時半に間に合った。
餃子と言えばビール。
数本携えて足取り軽く、もうまもなく家というところ。
二階の窓から外に目をやる家内が見えた。
家内が指差す方にわたしも目をやる。
ちょうど夕暮れ。
太陽と空と雲が三様の色に染まって鮮やか調和し美しい。
ひととき鑑賞してから夕飯。
食卓を飾ったのは、はちやの餃子。
ガーデンズでよく売れていたので買い込んだという。
先陣切って二男が食べて、わたしが続く。
いままで食べた餃子のなかで文句なしナンバーワン。
わたしと二男の意見は一致した。
お皿一面敷き詰められた餃子はあっという間になくなった。
二皿目からは家内も合流。
はちやの餃子とキリンラガー。
日曜夕刻にしっくり馴染む取り合わせと言えた。
今後ローテンションの一角担うのはまちがいないことだろう。