改札をくぐると同時、電光掲示に目をやった。
次の電車は18:33。
じゅうぶん間に合う。
ホームは蒸し暑く電車の到来が待ち遠しい。
そこでアナウンスが入った。
うまく聞き取れなかったが、到着が遅れるということだけは分かった。
ホーム上の掲示を見る。
遅れは3分と告げられていた。
少ししてからまた見上げると表示は5分となり、その直後に8分となった。
ちょうど帰宅ラッシュ時。
ホームは見る間に人で溢れはじめた。
これでは電車が来たとしても超満員だろう。
わたしは退避することにした。
駅を出て地上にあがり駅前の立ち飲み屋でしばし過ごす。
8時頃まで時間を潰して再チャレンジ。
ダイヤは正常に戻っているようだった。
表示時刻のとおりやってきた電車に乗り込んだ。
が、動きはじめてしばらくしてアナウンスが入った。
踏切確認のためこの電車は立花を終点にするかもしれません。
かもしれません、そんなアナウンスを初めて聞いた。
そうなった場合の帰路を思案していると、果たして電車は加島で停車し、そこで待機となった。
前の電車がつかえているのだという。
見ると反対側の電車がちょうどホームに入ってくるところだった。
このままこの電車に乗っていれば断続的に停車を余儀なくされ、最悪の場合、線路上で立ち往生ということにもなりかねない。
そう判断し、ホームに入ってきたばかりの前の電車に駆け込んだ。
もときた道を戻って、今度はJRではなく阪神電車に乗り直した。
つつがなく電車は西へと向かい、地元の駅にスムーズに到着した。
最初から阪神電車を使えば話は早かったということであった。
駅に着くとちょうどバスが出たところだった。
次のバスを待つ12分、家内とWeChatでやりとりし過ごす。
他愛ない情報を送り合ううちバスが来て、他愛ないやりとりをしているうちに家に着いた。
時計は9時半を指していた。
ずいぶんと遅い帰宅になってしまった。
そう思うが息子二人はまだ戻っていなかった。
まだハードワークの最中なのかもしれないし、すでに帰宅の途にあるのかもしれない。
いずれにせよともに父より遥かにタフで頭もシャープ。
彼らのことである。
何があろうと各自正しく状況を判断し、飄々かわして帰ってくるだろう。
息子の現在地点に思いを馳せて、あらためて二人を頼もしく思った。