冬は寒いが、それゆえ暖かさが無上のものとなる。
風が冷たさを増す宵の口、帰宅すると床暖が効いていてほっと気持ちが和んだ。
朝食は家でグラタンとサラダ。
昼の弁当はオムライス。
丹波で買った卵がふんわりとろけて極上であった。
家内の作ったものだけを食べると体調がいい。
そしてこの日、夕飯のカロリーも家内の監督下にあった。
前菜はタラの白子。
これをポン酢につけ紅葉おろしで食べる。
ふっくらして味わい濃厚。
サントリーオールドのハイボールにとても良く合う。
メインはアンコウ鍋。
これぞ冬の風物詩。
そこにサイドディッシュとしてもやしたっぷりの鶏軟骨が添えられる。
家内が取り分けてくれる分量だけ食べ、家内が作る分量だけハイボールを飲む。
ラストはトマトとモッツァレラ。
さっぱりしていて、これはデザートと言ってよかった。
食後、二人で映画を観る。
帰途、ツタヤで『タクシー運転手』を借りてあった。
ソン・ガンホ主演の韓国映画である。
ラストシーンは雪の舞うソウル。
家族でソウルを旅したのは二年前の年末のことだった。
零下10度にもなる極寒であった。
その寒さが映像を通じて蘇って懐かしい。
下は床暖、横には家内、肩に毛布も掛けている。
目に映る寒さは厳しいが、だからなおさら暖かいことが幸せに感じられる。
ちょうど映画が終わる頃、息子らが立て続けに帰ってきた。
夜の10時半。
一昔前なら迎えが必要だった。
そんな時代はいまや遠い昔。
楽になったものである。
彼らの風呂上がりにドンピシャのタイミングとなるよう、家内が麺を茹でる。
この日の夜食は特製喜多方ラーメン。
まずは長男。
彼は一口食べて家内の顔を凝視した。
おいしいと感じたとき、彼は必ずそのようにする。
家内にとっては勝利の瞬間と言えた。
長男が替え玉を所望したとき、風呂をあがった二男も着席。
結局二人で計四玉平らげた。
まさに文字通り男らしい食べっぷりであった。