帰宅して午後7時。
休み明け初日は京都での業務もあって結構疲れた。
さてさて何を飲もう。
そうそう、まっちゃんが持ってきてくれたお酒があった。
わたしが栓を抜き家内がグラスを用意した。
夫婦で飲んで一口目で顔を見合わせた。
いったい何だ、この美味しさは。
キレあってまろやか。
全身巡る血まで洗い清められるかのような味わいである。
食卓の上、無造作に置いたボトルの銘柄を一文字ずつ拾って検索し驚いた。
まっちゃんはとても高価なお酒を持ってきてくれたのだった。
二日前、まっちゃんが持参したこのお酒をわたしは冷蔵庫に仕舞って他のお酒を皆に振る舞った。
捉えようによってはお酒ロンダリングと見咎められても仕方のない行為であった。
せめてもの償いとして、ボトルを前に佇む我らでいまおいしくいただこう。
家内がフルーツトマトと生ハムとチーズを素早く用意し、わたしたちはまるで遠い欧州の洗練された夫婦のようにそれらしく気取ってグラスを傾けた。
であったが、やっべうめえ、とつい口にしてしまうのでやはりお里は隠しきれるものではない。
これまでいろいろな夕飯を味わってきたが、この日の主食はローラン・ペリエ・ウルトラ・ブリュットと言ってよかった。
飲み物が食べ物を凌駕する。
それくらいに別格だった。
ほんとうにおいしかった。
まっちゃん、いいお酒をありがとう。