日曜朝、家内とジムに出かけた。
早朝にもかかわらず結構な人の入りだったので驚いた。
大勢があちこちで盛んに息を吸って吐いて頑張っている。
そこに混ざることが躊躇われた。
大事をとり引き返すことにした。
部活の自主トレをするという二男を送り出し、わたしたちは有馬温泉に向かった。
いつもは徒歩。
芦屋から登って六甲山を超え有馬に到るが、この日はあいにくの雨。
とても山道を4時間は歩けない。
クルマなら30分。
助手席の長男と運転席の家内がする会話を聞いているうちあっという間に到着した。
ちょうどチェックアウトの時間に重なり有馬グランドホテルのロビーは大賑わいだった。
フロントに並び日帰りチケットを購入しまずは腹ごしらえ。
時分時にて雨にけぶる庭園を眺めつつ昼食をとった。
続いてお風呂。
長男と一緒に風呂に入るのは昨年の夏以来のことだった。
サウナに入り水風呂に入り金銀各種の風呂も合わせてずっと連れ立って過ごした。
風呂での特筆は長男の肉体。
湯場で見かけたなか、断トツで彼が一番いいカラダをしていた。
筋肉質もしなやかに厚みもあって見るからに頑強。
なるほど排気量大きいから、どれだけ食べても均衡が保たれている訳である。
ぬるめのお湯が心地よく最後は露天の銀の湯に居を定めた。
縁に頭を預けて長男と二人並んでぼんやり空を見上げる。
雨があがって分厚かった雲が幾分か薄くなった。
目線の先に漂う湯けむりと頭上の薄雲の流れが連動して見え、まるでゆったりと動く水墨画のよう。
余計な色は何もなく、水滴が湯を打つ音以外には何も聞こえない。
絶妙な濃淡で移ろう白黒と水の音の間断が時の刻みをどこまでも緩やかにしていった。
父子でたっぷり温泉を堪能し家内はもっと堪能し、次の日東京に帰るという息子のため服を買うことにした。
家内が三田プレミアムアウトレットに向けクルマを走らせた。
男子だからこれくらいの出費で済む。
女子がいたら一体いくらかかるのだろう。
エノテカでワインを買いつつ夫婦でそんな話をし、馬子にも衣装が嬉しいからだろう、家内は終始上機嫌だった。
夕飯の店は家内が予約してくれていた。
混み合うアウトレットを抜け、クルマで半時間ほどの場所。
エスケールはハンバーガーの美味しさで名を馳せて、人里離れた場所にあってかなりの人気店である。
家族三人でがつがつ。
ステーキを食べ、ハンバーガーを食べ、フィッシュアンドチップスを食べ、ナチョスを食べ、ナポリタンを食べた。
子ども好きのするそれら料理があまりに美味しく、わたしたちは大いにはしゃいでひととき童心に返った。
二男のためのハンバーガーを携え帰途につく。
息子がビリー・アイリッシュをはじめ数々の曲をかけ説明してくれる。
彼は根っからのエンターテイナー。
その説明が面白く、楽しく賑やかな車中となった。
途中、音楽が途切れ長男の電話が鳴った。
音楽に代わってカーオーディオを通じ通話が筒抜け。
梅田で西大和メンバーが集まっているのだという。
家に着いた途端、買ったばかりのニットとジャケットに着替え彼は出かけていった。
わたしたち夫婦はワインを開けてリビングにて二次会。
この日の練習風景がママ友から動画で送られてきたのでそれを眺めた。
部活のメンバーが右へ左へ走り回る。
動画の特筆は二男の体躯。
骨格がすらりとして筋骨たくましく、身のこなしが素早くて力強い。
ハンバーガー1個ではとてもではないが彼の夜食として用をなさない。
結局家内は二男のためパスタを茹で始めることになった。