魚屋たこやで大ぶりのイカを選び捌いてもらっている間、商店街を家内とぶらり歩いて買物を済ませた。
わたしは業務を終えたばかりで疲労困憊。
帰りは家内が運転してくれるのでとても助かる。
いつもと同じ。
家内が食事の支度をする間にわたしは風呂を済ませ、あがる頃には食卓が整っていた。
下足の部分は辛味で炒められ、その他は刺身。
たこやではタコばかり買ってきたが、イカも相当なものだと知ることになった。
珠玉のイカに続いて颯爽と登場したサワラの塩焼きも絶品。
これで味覚が全開になったようなもの。
カナディアンクラブの水割りがことのほか美味しく感じられた。
そして、炊きあがったばかりのたけのこご飯が夕飯のシメとなった。
お米が立って香ばしくあまりに美味しいので、家内の目を盗んでわたしはごはんをお椀に継ぎ足した。
お腹も満たされ、いよいよ『愛の不時着』の最終回に臨んだ。
観ている途中で岡本くんからのメールに気づいた。
33期の何人かでオンライン飲み会をやるよとの誘いだった。
すでに飲み始めていたしドラマは佳境を迎えていて目が離せない。
それで「また今度」と返事したのであったが、同時進行で盛り上がっているはずのその飲み会の様子が合間合間、頭に浮かんだ。
つまり、わたしの脳内に結ぶ映像で言えば、『愛の不時着』に岡本くんや谷口くんが登場するようなもの。
彼らの実際の職業どおり医者役であろうと、畑違いである兵士役であろうとビジネスマン役であろうとなんであれ板について、登場人物と岡本くん、谷口くんの姿が何度も重なり合った。
いろいろたいへんだけれど人生にはいいことがあり、時に悪巧みの人もあるけれどたいていは皆いい人ばかり。
そんなことを実感させてくれるようなドラマであったから、33期の岡本くんと谷口くんがその感慨をブーストさせて、観終えてわたしは自身の幸福をしみじみと感じることになった。
ドラマをしのぐほどわたしたち家族は周囲を良い人らに囲まれていて、日々健やか仲良く暮らしている。
しばらくはSpotifyで『愛の不時着』のサントラを頻繁に聴くことになるだろう。
ドラマを通じ、人についての良きイメージが明瞭になった。
サウンドに乗ってそれら良きものがより奥深いところにまで沁み込んでいくことになる。
これでますます心が肥えて優しくなれる。
わたしは良き学校に恵まれて、そして今回、良きドラマにも恵まれたと言っていいのだろう。