朝はテールスープとテールラーメン。
こんなにおいしいもので一日が始まる。
なんて幸せなことだろう。
家内の料理の腕前に二男と二人で賛辞を送り、前日同様、男二人で事務所キャンプ二日目に臨んだ。
この日の毎日新聞の「映画愛」で藤原帰一さんが『AKIRA』を取り上げていた。
流行った当時、『AKIRA』に触れる機会はなく、だから何故そこまで注目される作品なのか全く知ることなく30年以上が経ち、たまたま見開いた新聞の記事が縁となって、どれどれと観てみることになった。
思い入れがないし、事前情報もないに等しい状態だったからだろう。
マンガを観ているという域のなか、特に感想なく終始感情は平板なまま徒労感のようなものが残っただけであった。
もしかしたらその徒労感こそが映画の主題であったのかもしれないが、息子らに勧めようと思う作品ではなかった。
観終えてちょうど昼どき。
二男のリクエストに応じインド料理屋ダルシャンに電話した。
タンドリーチキンを赤と白の2種、カレーはキーマとシーフード2種、主食はターメリックライスとガーリックナン。
これらを一人分として二人前を頼んだ。
店先で受け取り事務所のテーブルに広げ、その量を目の当たりにして実質4人前だと気づいたが、男二人、顔色も変えずかなりの分量の「一人前」に没頭することになった。
息子と向き合ってカレーを食べる。
文字通り濃厚な時間となって、量があるからその濃厚が長く続いて、思い出深い充実の昼食となった。
腹ごしらえをしっかりと終え、引き続き、二男は課題に取り組み、わたしは本を読んで過ごした。
途中、長男からメールが届いて電話で話した。
わたしが送った本を早速読んだとのことで感想を寄越してくれたのだった。
話を聞いて意見を交わすことが、彼にとって読後のフィードバックになる。
こんなやりとりが嬉しくて、わたしはまた別の本を長男のもとに送ることになる。
日々欠かさず彼が行う筋トレ同様、様々な本を読むことで彼の言葉の筋繊維も強く太くなっていくのであれば、父親冥利に尽きるというものである。
夜7時過ぎ、家内に頼まれた果物や野菜を買うため二男を伴い閉店間際のスーパーに立ち寄り、割引となった寿司など買って帰途についた。
クルマで流すのは辛坊治郎さんの『ズバリどうよ』。
達人の域のその喋りに追随できるものは誰もおらず、他の出演者の合いの手さえ辛坊さんの喋りの明晰と流麗に棹さすようなものであるから耳に障る。
二男と二人、車内で押し黙ってその話芸に感服して聞き入った。
家に帰ると床がツルツルだった。
家内については、自宅でキャンプインしているようなもの。
GWを通じ断捨離が続行中で順々に各所隈なく掃除され家全体がピカピカになりつつあった。
夜、食卓に集合しここでようやく心安らかな休日の一日がはじまった。
二男が旺盛に食べ、わたしたちはその食欲に目を見張り、ワイングラスを傾けた。
こんなGWも悪くない。