時刻は午後8時。
業務最終地点が天王寺。
前回同様、正宗屋に足を向けることなく、駅で缶ビールをひとつだけ買ってまっすぐ家へと向かった。
夕飯の支度はすでに整っていた。
家内はひとりテレビの前にちょこんと座って、長男の試合のビデオを飽きもせず注視している。
食事しながら家内の様子にときおり目をやり、思い出す。
長男が中学受験直前に差し掛かった頃のこと。
家内は長男が出場した試合のビデオばかり見ていた。
それがいちばんの不安解消になった。
ラグビーで大奮闘する長男の姿をみれば、入試なんかで負けるはずがない。
そう思えた。
いま不安材料は何もないが、息子の駆け回る姿は何より見応えあって、だから手が空けばまた視線を注ぐということになる。
そういう意味で孝行息子。
昔から親を目一杯楽しませてくれた。
そう言えば先日、二男が出場する試合の収録されたUSBをもらった。
手持ちの機器と規格が合わないので、どこかカメラ屋に持ち込んでDVDにダビングしてもらわねばならない。
それも揃えば、長男と二男の試合を交互に視聴できることになる。
ドカンとぶつかり力任せに突進する長男の姿は痛快で、一方、相手のスキをついてブラインドサイドを一気に駆け上がる二男の姿は小気味よくて爽快。
ゴールデンコンビの相乗効果で楽しさはいや増しとなって、これはもう韓流ドマラをはるかに凌ぐ。
そして来年以降、そんな新作ビデオが増えていく。
夫婦共有の楽しみはこの先も尽きることがない。