日曜も朝から家内はすこぶる上機嫌だった。
朝食の支度をしながら喋りと動きのテンポが急上昇していって、その行き着ついた先はテンダラーのモノマネ。
食卓は笑いの渦に包まれた。
腹ごしらえを終えて二男が出発し、まもなくわたしたちも家を出た。
向かうは三田のアウトレット。
家内の頭のなかはいつも息子のことばかり。
寒さ増す年の瀬。
彼らのために新しいダウンジャケットが必要、そう思いついたら家内はすぐ行動に移す。
わたしは、その寸法役として駆り出された。
ついこの間まで子らはかわいいサイズのちびっ子だった。
が、その面影はわたしたちの胸の中にだけ残り、実物はもはやこの胸をぶち破るデカさ。
胸や肩など優に標準的な青年の二回りはゴツいから、着衣を選ぶ際、まずはわたしが試着してみないことには始まらないのだった。
あの店この店と渡り歩き、わたしは着て脱ぐだけを繰り返し、そのうち着て脱ぐだけで疲弊した。
おまけにその上から店に置かれたナップサックを背負ってマフラーも巻かれ、そんな年不相応な格好で写真に撮られそのたび息子の返事を待たねばならず精神的にも困憊した。
結局ラルフで決着し、やっと解放。
このとき三田の冬の空気がことのほか清涼に感じられた。
しかし、一日はまだ始まったばかりだった。
帰途、長蛇の列に並んでゆうゆう窓口から長男あてに荷物を発送し二男のものは家に置き、休む間もなく今度は日用品を買うため本町に連れられた。
年の瀬感ただよう問屋街にて食料品など買い求め、ようやく昼休憩となったが、天満橋土山人で一息ついたのも束の間。
階下にあるエデュオンで温風ヒーターとデロンギヒーターを買ってそれら真冬の備えを川向うの駐車場までわたしは運ばねばならなかった。
早起き鳥は三文得するというとおり、これだけ用事したのにこの時点でまだ午後早い時間帯だった。
寸法役をこなし荷物を運び、それらは単なる準備体操。
本日のメインイベントはこの後に控えていた。
家に帰ってジャージに着替え頭にタオルを巻き、わたしは即席の庭師になった。
裏庭に出て雑木を伐採しそれはとても楽しい作業であったが、刈り取った雑木を細かく折って刻んでゴミ袋に収納する作業は気が遠くなるほど面倒で、たいそうな骨折りとなった。
それでここからジムに行くのだから、夫婦揃って根が真面目。
そんなことを話し、互い感心し合いつつ息子の夜食などの買い物を終えて夕刻。
ようやく憩いが訪れた。
M1を観ながら夕飯を食べ赤ワインを飲み、家はポカポカで充実感とやすらぎにふんわりと包まれ、くつろいだ。
やはり、頑張ってこその憩い。
横に座って漫才に微笑む家内を見てつくづく思った。
この女房がいなければ毎日がほんとうにつまらないものになっていただろう。