KORANIKATARU

子らに語る時々日記

エデンの園

深夜、階下からの声で目が覚めた。

息子が夜食を食べながら家内と話をしているのだった。

 

学校で部活仲間とひさびさ一緒に昼を食べたという。

場所は彼らが言うところのエデン。

校内の蕉蕪園のことである。

 

江戸元禄の頃、眺めの良いこの地に料亭「浮瀬」があった。

そこで芭蕉が句を詠み、後年、蕪村も詠んだ。

 

日本を代表する両巨匠が詠ったのであるから句碑が建ち、浮瀬の跡地は庭園として整備された。

ちなみに、今年は蕉蕪園のパース絵が大阪星光同窓会報の表紙を飾っている。

 

部活最盛期は部室で筋トレしながら昼を食べた彼らだったが、日頃はエデン。

その頃を懐かしみ、この日、誘い合わせて集結したのだった。

 

各自近況を語り、卒業旅行の行き先に思いを巡らせた。

 

66期も皆、非常に仲がいい。

 

33期が高岡さんのことを「さん」付けで呼ぶように66期にも「さん」付けで呼ばれる者がいて、タコちゃんやまっちゃんのように「ちゃん」付けで呼ばれる者、章夫といった感じで下の名前で呼び捨てにされる者、デビルのように名とは無関係な愛称、たとえば「妖精」といった風に呼ばれる者がいる。

わたしたちの頃とまったく同じ。

 

ところで、わたしたちの卒業旅行の行き先は宮崎だった。

 

アキオ、タロー、シマダ、ゴリラのガイといったメンバーで連れ立った。

いまや、公認会計士であり心臓外科医であり河内長野市長であり一線級の研究者でありといったように、みなずいぶんと偉くなったものである。

 

階下の声に誘われてしばし思い出にふけり、わたし自身が「エデン」で皆とわいわいやっているような気になって、長く続く大阪星光の幸福にひとときひたった。

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2020年11月25日 息子の朝(マナガツオ定食)昼(つくね丼弁当)

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2020年11月25日着山形りんご,夕飯はサムギョプサル

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令和2年10月星光同窓会報表紙パース絵 浮瀬亭俳跡蕉蕪園 作 宮後浩氏(9期)