夜半から激しい雨が振り続けた月曜の朝、名神高速では事故渋滞、JR神戸線では人身事故が発生し、阪神間の朝の足は大いに乱れた。
電車運行の復旧を待って、わたしは吹田岸辺の長谷クリニックを訪れ診察を受け、そこから事務所に向かった。
その途上、長男からメッセージが届いた。
この日、彼は大使に随行し霞が関で行われるミーティングに出席することになっていた。
大きなカラダをした大使と並ぶ写真と大使館スタッフとしての名刺がメッセージに添えられていた。
彼は緊張しているのだろう。
あれこれ考えず、そこで起こることに目を凝らそう。
すべてが学びの場。
じっくり味わって楽しんでしまえばいい。
そう返信した。
時刻は昼を過ぎた。
スタッフの弁当を買って事務所に入り、仕事し始めるとすぐ今度は二男からメッセージが入った。
デザリング機能が必要とのこと。
その場で契約変更の申し込みだけして後は任せた。
ほどなく、無事設定完了との連絡が入った。
パソコンなどIT知識についてももはや子らが上。
老いては子に従え。
これからずいぶん楽になる。
そしてしばらく経って後、電話が鳴った。
長男からだった。
ミーティングが無事終わったという。
忠実に守秘義務を守りつつ、他愛のないような話をいろいろと聞かせてくれた。
もう慣れた、といった感じ。
今後、場数を踏んで大いに成長することだろう。
改めて彼が大使と並んだ写真に目をやった。
大使は大柄で上背190くらいはありそうだった。
うちの子らもいつかこれくらいにでかくなる。
そんな確信が親バカの胸に静かに満ちた。