前日かなり頑張った。
その疲労があったからだろう。
一度も目覚めることなく家内は朝までぐっすり眠った。
そしてこの日も家内はまっすぐ下北沢に向かった。
料理に関しまだまだ不完全燃焼だった。
長男は留守だったが家内のため自転車が置いてあった。
その自転車に乗り家内はスーパーに出かけ、もはや勝手知ったる店であり馴染みの客。
テキパキと予定の買物を遂行した。
下宿に戻ってまずは飯を炊いた。
その他、料理をあれこれこしらえ数珠繋ぎに品目が増えやがて冷蔵庫はいっぱいになった。
日曜の朝、同じ頃合い。
わたしは武庫川を走ったあとで実家を訪れた。
ひょいと出てきた母の写真2枚を父に渡し、線香をあげ手を合わせた。
お供えの花がくたびれかけていたので、すぐに腰を上げ、わたしは花屋に向かった。
母の自転車を借りることにした。
新品だからとても乗りやすい。
たまに父も使うようだがサドルの高さがそのままになっていた。
膝が伸び切らずキックし難いが、わたしもその高さのまま下町の街路をのんびり走った。
パッと明るいものをといつも通り花屋に注文しひと束受け取った。
母のため花を買うのは、これまで母の日や誕生日などに限られた。
まさかこんな風に花を買うなど思ってもみないことだった。
界隈をぶらり走って実家に戻り、花を供えてから実家を後にした。
鶴橋で途中下車し、アジヨシに向かった。
仕事が休みなので、この日は肉も焼いた。
心の中、わたしは母を伴っているが、店からすればどこからどうみても一人客にしか見えないだろう。
たっぷり食べて満腹。
一日が過ぎるのはあっという間。
家に戻ると夕刻だった。
することもないので韓流ドラマを見始めた。
タイトルは『ヴィンチェンツォ』。
またしても韓流は面白い。
その頃、家内は下北沢を後にしていた。
わたしはドラマを眺め、家内は帰阪の途につき汽車に揺られ、これまたともに一人に見えるだろうが、メールでやりとりし続けて、だから結局、一人ではないのだった。