難波での昼食を終え家内と二手に分かれ、夕刻、梅田で合流した。
買物をしてから一緒に帰途についた。
食卓に向き合って夕飯。
外はまだ明るくカーテンを開ければ照明は不要だった。
家内がベトナム風春巻きを作ってくれる。
デザートは桃とスイカ。
野菜や果物など家の食事は自然に由来するものが大半を占める。
お酒を飲まずこのままいけば、わたしは見違えるほどの健康体になるに違いない。
食後、ソファに腰掛けわたしは映画を観始めた。
すぐそばで家内が用事にかかる。
子らに送る小物などを丁寧に荷詰めして、昔のアルバムの整理も同時に進めた。
ほらほらと子らが小さかった頃の写真がわたしの視線の先に何度も差し挟まれた。
そのたびわたしは映画を中断し、子らの当時の面影に目を注ぐことになった。
昔の写真だけでなく二男から先日届いた写メなども眼前にかざされた。
早稲田建築の友だちができたとのことで、日曜の夜、二男はその友人と渋谷で遊んだ。
そのときの様子を写した写真がいくつも織り混ざった。
遠い昔の思い出が今に連なり、それがわたしの内で映写され、結局、映画は意識の外へと追いやられた。
夜へと移り変わる静かな時間帯。
子らが宿ったと分かったときの喜びや、エコー写真に一緒に見入った場面などがよみがえり、山、川、海、今へと思い出が早回しで各地を巡り、子らが無事に育ってくれたことへの感謝の念がとめどなく溢れた。
眼前にはいそいそと用事する家内。
そしてその向こうに子らの姿が目に浮かぶ。
この平凡な一場面に幸福が無尽蔵に詰まっている。
家内が上機嫌なのも当たり前の話と言えた。