長男から家内に電話がかかってきた。
先日送った荷物のお礼だった。
運転しながらわたしは漏れ聞こえる声に耳を澄ませた。
グリーンのポロが気に入ったようで、「緑にはまりそう」との息子の言葉に家内はたいそう喜んだ。
長男と話してまだ足りない。
家内はそのまま二男に電話した。
肉の調理について家内が助言し、二男が自炊の様子を家内に語った。
高円寺が好評で、何人もの友だちが遊びにやってくる。
その中心は星光66期だが、先日うちを訪れた筑駒理三も泊まりに来たという。
夜、二男は料理を作って振る舞う。
先日は唐揚げ、前夜はアクアパッツァを作って友だちと食べたとのことであるから、長男と同様、彼も料理が達者。
家内の血を受け継いでいるのは明らかなことだった。
皆と食べて語らい、朝、駅で別れる。
そんなシーンを思い浮かべると、駅のホームに立ち込める朝の空気に青春が香って、わたしの胸まで満ちてくる。
息子と話し終えた後、家内はクルマを降り今日お目当ての店へと出かけて行った。
その間、わたしはクルマを停めて心斎橋の路上。
気取った感じの店には場違いを覚えるから一歩も足を踏み入れない。
だから、こういった場合店外にてひとり静かに佇むことになる。
一時間も経過し待つのもほぼ限界というところ、家内がようやく戻ってきた。
いろいろ親切にしてもらった。
店のマネージャーが東京出身だというから、上の子が慶應生で下北沢に住み、下の子が早大生で高円寺に住むと家内が話し店内にて東京話で盛り上がったという。
新しい話題が増えて二万語がより楽しいものとなる。
だからその仕入れと思えば腹も立たない。
ほんの少し、ほんとうに少しだけではあるが子らを通じて世界が広がったと感じる。
それは家内にとってもわたしにとっても、喜び以外の何ものでもない。