前日同様、好天に恵まれた秋の日曜、家内は図書館へと赴き、わたしは職場に向かった。
事務所に着いてすぐ全ての窓を開け放った。
入り口のドアも自室のドアも全開にし風が吹き込むままにし肌寒さを覚えながら仕事をこなした。
仕事環境が整っていてその空間に愛着があるから日曜の作業であっても苦にならない。
そこが居場所と庭師が庭に居着いて憩いを感じるようなものと言えるだろう。
昼過ぎにあらかた片付いて、続きは月曜にまわすことにした。
手始めに焼肉と冷麺。
日曜の安息は鶴橋アジヨシにて始まった。
ひとりテーブルに腰掛けて一枚一枚肉を焼き、冷麺をすする。
人生これでよし。
至福とはなんとシンプルなものなのだろう。
続いてサウナ。
歩いてすぐの場所にある延羽の湯に足を向けた。
菊花賞の行方に関心が集まるサウナのなか、テレビ画面には目もくれずひとり黙念と熱さに身をひたした。
限界に達したところで水風呂に飛び込み歓喜して、また熱さ。
ああ心地いい。
サウナに3回入ったあとで、露天の炭酸泉に身を横たえ空を眺め無に同化して再び思った。
これこそ至福。
ご飯を食べて風呂に入ってぼおと過ごす。
至福の何たるかを反芻しつつ、コンビニで買ったアイスを片手に湯冷ましの秋風に吹かれ駅に向かった。
地元か南森町もしくは野田阪神。
各種選択肢があるなか、この日もJR尼崎で途中下車して阪神百貨店で食料を買い求めた。
目線は家内。
蜜がたっぷりの希少種だという「おいらせ」、なると金時「里むすめ」をカゴに入れ、すき焼き用の肉を頼み特売のうなぎの蒲焼を手にとると家内の喜ぶ顔が頭に浮かび、まるで手柄でも立てたかのように心が弾んだ。
まとめるとこうなる。
食べて湯につかってぼおと過ごし、女房が笑顔なら至福の極地。
なんてシンプルな話なのだろう。