横を歩くのは二十代の頃、慕っていた先輩であった。
飲んだ帰りで、場所はおそらくミナミだろうか。
とある店の前に差し掛かったとき、暖簾の向こうから星光生がぞくぞくと姿を現した。
えっ、とわたしは驚いた。
なぜなら今夜飲み会があるなど、わたしは知らされていない。
つまり誘われなかったのだった。
バツが悪く、先輩の陰に隠れるようにしてわたしは急ぎ足でそこを通り過ぎた。
先輩を駅まで送って、一人になって落ち込んだ。
まったく連絡も何もなかった。
除け者にされる理由が見当たらない。
どういうことなのだ。
と、思ったところで目が覚めた。
このところよく夢に星光33期が現れる。
コロナ禍の影響で久しく皆と顔を合わせていない。
だからだろう。
それにしてもかなりの頻度で夢に登場するのであるから、その存在は内臓されているも同然で、やはり同級生たちはわたしの一部を形成していると言えるのだろう。
二十代の頃の会社の先輩とは疎遠になって、夢に登場したのは今回が初めてのことである。
かなり親しくして連日のように一緒に飲んで過ごしたが、結局、肝心の部分が見えず分からず、胸襟を開いてというまでの関係ではなかったのかもしれない。
物心がつき、いろいろなことに目覚め葛藤する青き十代の頃、ここが肝心の部分だとすれば、文字通り裸の付き合いを通じて、星光生どうしは肝心の部分に互い触れ合っていたと言える。
結果、良きにつけ悪しきにつけ愛着の度が別次元へと至るのも当然と言えば当然のことかもしれない。
この先も当分、飲み会などは催し難い。
だからせめて次に夢で遭うときは、皆にはぐれぬよう寝床でしっかり食らいつこうと思う。