甲子園球場を後にして、タクシーを探しながら甲子園筋を4人で歩いた。
夜11時であるにもかかわらず家内の甥っ子が弾むように歩いて、その元気さがうちの長男、二男の面影に重なった。
昔、二男は塾の帰りにここを走った。
そんな話を甥っ子にすると甥っ子も走った。
大晦日の日には顔を合わせる。
年に一度会うだけであるが、甥っ子からすれば存在感たっぷり。
二男は大きいお兄ちゃんと言えるだろう。
そのお兄ちゃんがここを走ったと思えば、自分も走る。
そんな子どもらしさがとてもかわいい。
一方、うちの長男とはなかなか会う機会がない。
会ったのは遠い昔で記憶もあやふや。
それでも大きいお兄ちゃんのお兄ちゃんなのであるから、甥っ子のなか憧憬のようなものがあるように感じられる。
東京に大きいお兄ちゃんが二人いる。
二人と同時に会うことがあれば、甥っ子は大いにはしゃぐに違いない。
カラダがごつく、そばにいるだけで頼もしい。
そして語られる話はおもしろく、甥っ子からすればいつまでもその話を聞いていたい、というものだろう。
思い浮かべるだけで微笑ましく、楽しい。
ちびっ子が元気で可愛らしい。
そんな様子に大人の心はいやされる。
ちびっ子に目を細め、甲子園の三番町あたりまで歩いたところで、ようやく空車のタクシーが見つかった。