次はもっと生活感があって静かな場所がいいのでは。
そうだねと息子も異議なく頷いた。
善は急げ。
来月にも新しい下宿を探そう。
そう決まった。
いまの下宿は長男が一人で決めた。
単に下北沢がいいという理由だけで適当な所で手を打って、だから、部屋の実用という切り口で見れば至らぬところが多々目立つ。
なにより狭い。
訪れる度に息苦しさを感じ、そこを後にすると心が晴れた。
つまり快適からほど遠い。
昨秋、二男は高円寺に引っ越した。
街に生活感が溢れ活気があって、住まいも至って快適だから過ごし良い。
二男のときにそうしたように、今度はわたしたち夫婦も不動産屋に同行し、いろいろと見て回って良い場所を探そうと思う。
だから、今から夫婦で眺めるのは東京の路線図となる。
このあたりはどんな街だろう。
美味しい店はあるだろうか。
銭湯はあるか、ジムはあるか。
まるで旅するみたい。
新しい世界との出会いに胸が躍る。