曇りとの予報であったがギンギラ太陽が雲を押しのけ、強烈な日差しがあたり一帯に降り注いでいた。
銀座のホテルを出てさっさと地下に潜って銀座線で渋谷に向かった。
待ち合わせは渋谷駅ビルの前で午前11時。
わたしたちが10分前に着き、すぐに二男が現れ、続いて長男が姿を見せた。
いっぱし男子のこの二人が家内の「推し」である。
だから何の変哲もないビルの前でまずは記念写真を撮った。
家内が焼肉屋を予約していた。
イスタンブール在住の食通の友人と芦屋の料理教室で知り合い、以来、ずっと交友関係が続いている。
その女性が勧めてくれたというから、折り紙付きの店と言ってよかった。
着席し四人で乾杯し、店で人気の肉を一通り食べられるようコースで頼んであれやこれや追加した。
いつものとおり最近みた映画などの話になって、
二男は長男にネットフリックス配信の『ペーパーハウス』を勧め、長男は二男にアマゾンプライム配信の『ザ・ボーイズ』を勧めた。
家内が夏の旅行について話し、わたしはその計画について説明を加えた。
旅の序盤、部隊は二つに分かれる。
伊丹を発つ両親チームと羽田を発つ兄弟チームがそれぞれの空路を経てほぼ同時刻に目的地に到着する。
空港にて合流し、空港前で待つタクシーに四人で乗り込んで、ここからは中盤。
二手に分かれて同時刻に空を移動する。
そんな序盤からして胸が躍る。
家族水入らずで目一杯からだを動かし遊んで飲んで、至福の時間を過ごして終盤も同様。
ほぼ同時刻、二手に分かれて飛び立って空を移動し、各々の場所へと帰還する。
コロナ禍があってずっと旅がお預けになっていた。
子らにとってもこのイベントに期待が高まり、だから食欲も増して、いつものとおりやたらと食べて昼から飲んだ。
そして、あっという間に時間が経って、時計を見ると午後1時半。
不動産屋との約束の時間を過ぎていた。
店を出てタクシーに乗り込んで、御徒町に向かった。
前日、夫婦で物件を見て回り、千駄木で決まりと思っていたが、翻った。
もっといい物件との出合いが待っているなど、このときは想定もしていなかった。