KORANIKATARU

子らに語る時々日記

父子の間に生まれた友情

ビュッフェで育ちが明らかとなる。 鳴門二日目の朝は洋食。 ハンバーグやウインナーなど子どもが喜ぶようなメニューをわたしはてんこで盛って、卑しい育ちを白日のもとに晒した。 二男はと見れば、食べる分量だけ上品にもって、おまけに過半をサラダが占めて…

漏れなく応援団がついてくる

予約に空きが出た。 夕刻に連絡があり家内は芦屋に向かった。 いつまで経っても女子は女子。 アンチエイジングを含めた体調管理には専門家の高度な知見が欠かせない。 だから折々、芦屋の阿部レディースクリニックを訪れる。 院長は大阪星光の33期。 親身に…

鳴門海峡にてさよなら夏の日

明け方から仕事に掛かって午前中には区切りがついた。 家内と二男を伴い大粒の雨が打ちつけるなかクルマを走らせた。 淡路島を縦断し渦潮の海を渡って午後1時過ぎ、鳴門に到着した。 すっかり雨があがって、雲間から時折日が差した。 人気店びんび家も人が…

親のスタイルが集積する場所

内面と外面だけでなく様式も継承されていく。 息子の部屋の写真を見るとコルクボードが掛かっている。 素っ気ない天板だけの机の上に置かれた筆記具は2Bの鉛筆でノートの大きさはA4。 わたしの作業まわりと酷似している。 効率を考えれば机はでかく簡素な方…

たまに引っ越しするのも悪くない

夜、虫が鳴き始めた。 まもなく秋。 季節の移り変わりを思いながら、その音色に耳を傾けた。 しんと気持ちが静まって心地いい。 が、次第その音色が「ビーマイベイビー、ビーマイベイビー」と聴こえ始めもう他に聴こえようがない。 そうなると誰かのシャウト…

甲冑と自身のサイズが合致した

仕事を通じ喜んでもらえると嬉しく褒められると嬉しく新たに声がかかると更に嬉しい。 責任重大だから楽ではないが苦でもない。 節目節目に訪れる喜びを思えば、差し引きプラス。 人生のなかで仕事が重きを占めて、それが喜びの源泉という今の状況はとても幸…

善き人は甲斐甲斐しい

息子が一人で設営し、ベランダ焼肉の舞台が整った。 照明、蚊除け、シート、椅子、炭火、食器、飲み物。 すべて整って万全。 なんと楽ちんなことだろう。 彼が受験生だった頃、わたしがその役割を引き受けていた。 思えば結構たいへんな作業だった。 家族三…

一掴みの縁だけが最後に残った

午後、ぶらりと実家に寄った。 差し入れが美味しかったと父が言う。 それを聞けば家内が喜ぶ。 張り切ってもっといろいろと作るに違いない。 料理について言葉を交わし、互い笑って顔を見合わせた。 そのとき、一瞬の沈黙が訪れた。 双方の頭に浮かんだのは…

貧乏が良き導き手となった

最初に頼んだウーロン茶のグラスがまもなく空いた。 店員が二男に声をかけた。 お飲み物はいかがいたしましょうか? 二男は言った。 お冷やをください。 何でも好きなものを頼めばいい。 わたしはそう水を向けるが二男は首を振った。 特に飲みたいものはない…

京都にて十年一昔を肌で感じた

昨年の夏は長男。 今年の夏は二男を連れて京都に向かった。 まずは開店と同時、「にし田」を訪れた。 すでに幾組もの客が順番を待っていた。 ありふれた佇まいに見えて人を魅了してやまない。 他とは一線を画す店であると、ひと目で二男にも理解できたに違い…

遊んで更に結束が強まった

昨夏は帰省した長男を連れ明石の寿司大和を訪れた。 今年は二男を伴った。 昼を前に出発し玉津ICで高速を降り片道約一時間。 予約してあった座敷に陣取った。 小さい頃、二男が食べることができたのはマグロと玉子だけだった。 いまは何でもよく食べる。 し…

一緒に楽しく頑張れる人

いま毎日が楽しいが、それなり苦労も伴った。 女房がいたから乗り越えられた。 土山人へと向かう車中、息子とそんな話になった。 女房が誰かで人生が変わる。 周囲に生きた実例が幾つもある。 目を凝らせばそれら女性の奥に潜む本質がチラと見えることだろう…

最後の頁をきちんと閉じてからの話

早朝、寝床のなか。 目が覚め、徐々に意識が起動していった。 前日マッサージを受けたからだろう。 快調と感じた。 そろそろ起きよう。 そう思いつつ、ふと考えた。 はい、ここまで。 もしいま唐突に人生終了の時を告げられたとしたら。 半睡半醒のまま想像…

無心となった瞬間、時間が飛んだ

珍しく朝の10時には家を出た。 昼前の打ち合わせ1件を皮切りに、午後に3件、夜に1件と予定が立て込んでいた。 日に5件も訪問が詰まる日など滅多にないことだった。 さあ頑張ろう。 そう思う一方で一日を思って気重さも同時に感じた。 電車に揺られながら…

50歳がひとつの終焉

節目というよりひとつの終焉。 男子50歳はそういった地点だと感じる。 そこを過ぎるともう何も身につかない。 精進したところで押し寄せる若手に伍するレベルまでには至らない。 それまでに培って身に宿った「実」以外、頼りになるものは何もない。 もはや、…